シャツ一枚でそれとなくコーディネートが様になった季節は過ぎ、これからの時期はより一層、着こなしに重きを置かなくてはいけない。シンプルなコーディネートも悪くはないが、それ一辺倒というのはおしゃれに気を使ってない感が否めない。そうならないためにも、いつものコーディネートになにかひとつアクセントになるものを加えたい。今回は、東京・蔵前のセレクトショップ WEEKENDER SHOP(ウィークエンダーショップ)の店主 芹澤伸介さんに、ベストを取り入れたコーディネートを組んでもらった。
■難しいからこそ、おしゃれに見える
――一般的にベストは着こなしが難しいというイメージがありますが、芹澤さんはどんなイメージを持っていますか?
「難しいアイテムだと思います。ベストがなくても、Tシャツやスウェット一枚で十分コーディネートは成立します。ベストを着ることで、インナーやパンツの太さ、色、柄を考えなくてはいけなくなります。今まで成立していたコーディネートにベストを着たら、全然合わない、ということが起こり得るんです。ただ、ベストは着こなしが難しいからこそ、コーディネートがうまくいったときにおしゃれに見えると思います」
――難しいからこそ、それを超えたときにおしゃれに近づけると。
「洋服に限らずですけどね。ただ、面倒くさい人には無理に着てほしいとは思わないです。やっぱり洋服が好きな人やおしゃれになりたいという人に、コーディネートの中にひとつ加えてほしいなと思います。コーディネートに変化を加えたり、パターンが増えたりするので、おしゃれになりたい人は持っておくべきかと。シンプルな服装でありたい人には押し付けるアイテムではないので、あくまでおしゃれをしたい人には……です」
――ベストといってもたくさんの種類があります。ダウンベストやフィッシングベスト、ラジオベストなど。初めての方にはどんなベストを薦めますか。
「今はやっているニットベストのようなプルオーバーより、ブルゾンやジャケット感覚で着られるジップアップ型のほうがいいと思います。着脱しやすくシンプルなインナーの上に着やすいので、フルジップの無地のベストが初めての方にはおすすめですね」
――なるほど。ベストは「おじさんぽい」「男臭い」という声を聞きますが、それについてはどう思いますか。
「気にする必要はないと思います。例えば、ハンティングジャケットってあるじゃないですか。元はミリタリーのアイテムなのに、数々のブランドがリリースしたりすることで、普通に洋服として取り入れられていますよね。ベストも同じでそういうノリで取り入れればいいと思います。イメージにとらわれる必要はないかなと。ただ、それでも浮いてしまうようなデザインのベストがあると思います。そこは気をつけないといけないですね」