やる気引き出す工夫、グローバル経営に生きるTDK 石黒成直社長(下)

――組織としてはどのように対応していますか。

「東京だけに本社機能を設けていてもうまく回らないので、海外の地域本社を設けています。中国や米国、欧州、中国以外のアジアのそれぞれの地域のグループ企業が連携しながら運営しています」

「グループ各社がTDK本社から手厚いサポートを受けていることを実感できる体制を目指しています。例えば、弁護士が必要になれば地域本社が派遣したり、ファイナンス(財務)の機能を共有したりできます」

理念や価値観を共有しつつ自由に裁量を発揮

――企業理念やルールなどはどのように共有していますか。

「TDKグループとして最低限守るべき理念や共有すべき価値観をまとめた『Day 1 Book』を策定中です。『文化・産業に貢献する』『信頼を守る』といった社是・社訓にあたるものや、『品質規定を守る』といった部門ごとの決まりなど、厚さは3~5センチメートルほどになります。グループ企業はそれを守りつつ、各拠点がそれぞれ自由に裁量を発揮できるようになっています」

欧州工場で進めていた生産改革プロジェクトのメンバーと。40歳ごろ(1996~97年ごろ、右から2人目)

――各社の意見を調整するのは難しそうですね。

「経営の方向性は経営会議にかけてしっかり議論しています。会議は全て英語で、『機能対等』の言葉の通りそれぞれの立場の人間が対等に意見を戦わせます。会議が2時間を超えることも少なくありません。特に海外のグループ役員は、疑問があればためらうことなく問題を指摘します。彼らも経営の課題を抱えていますが、臆することなく自由闊達に意見を出してきます」

「私が社長になったこの3年を振り返ってもよりオープンな議論ができるようになったなと実感します。自由で平等に話せる環境をつくれば議論は活発になります。それを促進するのも社長の仕事です。業績が悪くても将来性のある事業は多くある。私も若い頃は散々叱られたので『問題は何か』『やり方が間違っていないか』と皆で話し合い、サポートすることで、社員のやる気を引き出すことを心掛けています」

国境を越え、場所に縛られない組織運営

――人材のグローバル化にはどのように対応していますか。

「グローバル企業として、社員の流動性や評価制度を見直すことも重要です。現在、複数のプロジェクトを進めています。グローバル人事を統括しているのは、ドイツ人の人事部長ですが、彼の自由な発想に私も期待しています」

「例えば、国境を越えた人事チームを結成し、場所に縛られない組織運営を進めています。あるプロジェクトのリーダーは中国人ですが、日本人やドイツ人などそれぞれの地域で最適なメンバーを仲間に加えてチームを結成し、プロジェクトに取り組んでいます。このような自由な取り組みが複数進んでいます」

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