キャッシュレス時代にぴったり いまどき「ミニ財布」納富廉邦のステーショナリー進化形

薄い財布は、どこかに無理を掛ける必要があるが、その無理の掛け方がうまいのだ。紙幣の出し入れにややコツがいるが、このアイデアと、革財布らしい質感を保ったまま薄さを実現したことを高く評価したい。

BrEAknoT「Minitto(牛革 栃木レザー)」

BrEAknoT「Minitto(牛革 栃木レザー)」2万円+税。一見シンプルな普通の二つ折り財布のようにも見えるが、細部の工夫で、コンパクトなのに使いやすい財布に仕上げてある。価格は違うが、サメ革、ゾウ革などの別素材のバージョンも用意されている

香川県の皮革製品メーカー、ルボアのプライベートブランド「BrEAknoT」による、小型財布「Minitto」は、現在、コンパクトな財布の中で、最も無理をせずに作られた、それ故に、実際に使った時の扱いやすさに圧倒的に優れた財布だと思う。

カテゴリーとしては、薄い財布というよりも小さい財布なのだけど、使用時の厚みも20ミリを切るので、十分に薄い財布と言ってもいいと思う。

構造は、カード部とコイン部が重なっていて、その下に紙幣を挟むというタイプで、本当に、特に目立った特徴はない。ただ、このよくありそうな構造を、ものすごく少ないパーツで実現していて、それが結果的にコンパクトさと薄さを生んでいる。

ポイントはコイン部分とカード部分の仕切りが可動式になっていること。この構造で最小限のスペースに収納したコインもカードも、スムーズに出し入れできる。コインケース部が手前下方に来るように持って使えば、支払い時に全ての機能を持ち替えずに使える

紙幣部は外側の革とカード部で挟むだけ、そしてカード部とコイン部の仕切りは可動式で、カード部とコイン部のマチは同じパーツを共用。なので、外側の革からコイン部まで4枚の革で構成されている。これは、今回取り上げた他の2つと同じだけしか革が重なっていないわけで、それでいて構造には無理がなく、紙幣は折り曲げず、カードもコインも余裕を持って出し入れできるのだ。特に、カード部とコイン部の仕切りが共用で可動式というアイデアが素晴らしい。この構造のおかげで、コインもカードもマチを大きく開いて出し入れできるのに、厚みが出ないのだ。

ミニマムなのに、カード部の裏側にはSuicaなどのICカードを差し込める小さなスリーブが付いていたり、全体を留めるホックのパーツがものすごく薄かったりと、ディテールも凝っていて、アイデア先行ではなく、かといって従来の財布の常識にとらわれず、「使う」ことを考えて作られているのがよく分かる。

収納量は紙幣が20枚、コイン30枚、カードは厚手のものが約6枚+ICカードと、十分実用的。構造上、コインの容量を減らせばカードはもっと入る。私の使い方では約10枚は収納できた。オンラインサイトでは革の種類も選べるのも良い(価格は変わる)。地味だが、すごく良くできている財布なのだ。

それぞれに特徴がハッキリしているので、自分の使い方にあった財布を選んでほしい。どれもポケットに入れて持ち歩いて全く邪魔にならないのが魅力
納富廉邦
佐賀県出身、フリーライター。IT、伝統芸能、文房具、筆記具、革小物などの装身具、かばんや家電、飲食など、娯楽とモノを中心に執筆。「大人カバンの中身講座」「やかんの本」など著書多数。
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