その構造は、もの凄くシンプル。革を数枚縫い合わせて、それをくるっと巻いただけのような構造なのだが、これで紙幣10枚、100円玉15枚、厚めのカード5枚程度は収納可能。しかも、紙幣は折らずに収納できて、コインは完全に開かなくても出し入れできるので、レジ前でもたつくこともない。
特に「薄さ」を強調してはいないものの、そのシンプルな構造は、かさ張る要素が全くなく、結果的に「薄さ」を強調している財布と比べても明らかに薄い状態のまま使えるのだ。また、コイン部、カード部、紙幣部、どれもがマチも無い単なるスリーブのような構造なのに、実際に使ってみると使いにくさを全く感じない。サイズ的に余裕を見ているからなのだと思うけれど、それにしても、この扱いやすさは、見た目がシンプル過ぎるだけに驚かされる。
SYRINX「HITOE 短財布2」

SYRINX「HITOE 短財布2」は、厚手のしっかりした革を使いながら、薄くてコンパクトな財布を作るというなかなか野心的な試みを、使用者が満足できる形で実現した、薄い財布界のニューフェース。
収納量は紙幣10枚、コイン15枚、カード8枚程度と、一般的な二つ折り財布と比べても遜色ない。外観も大きさこそ一般的な二つ折り財布と同程度だが、その薄さは約15ミリとスマートで、ズボンのポケットなどへの収まりが良い。何より、中にギュウギュウにコインなどを入れても、基本的に厚みが変わらないのがすばらしい。
構造としては、考え方はバリューイノベーションの「薄い財布」と同じで、カード部とコイン部を重ならないようにして薄くするというスタイルだが、その実現方法が違う。一重、つまり折り畳まない構造で、内部に仕切りのような形で下部にカード部、上部にコイン部を設けて、その周りを紙幣で挟み込むというもの。ただ、それだけだと使いにくいのだけど、この財布では、ファスナーを2つ付けて、片方を開けると紙幣とコイン、もう片方を開けるとカードと、出し入れ口を分けたところがうまい。
もちろん、出し入れ口を分けているから、コインや紙幣を取り出した後、カードを出す場合は、一度コイン側のファスナーを閉じ、カード側を開けるという手間がかかる(慣れてくればコインとカードを一度に出し入れすることもできる)。しかし、紙幣やコインと一緒にカードを出す機会はポイントカードくらいしかなく、その場合、支払いをクレジットカードにすればカードだけでよいなど、一般的な運用の中で、この2つのファスナーを両方使うケースは意外に少ない(実際に使ってみて実感した)。