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ハリウッド俳優のギャラ アベンジャーズ勢が上位占拠

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ハリウッドの俳優のギャラ(出演料)はどのくらいなのか。映画業界誌『バラエティ』『ハリウッド・レポーター』や映画情報サイト「IMDB.com」に掲載されている新作、もしくは過去1~3年の出演作のギャラを基に男優と女優に分けてランキング化した。

映画1本あたりの出演料が最も高い男優はロバート・ダウニー・Jr.。2018年公開の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で手にした7500万ドルだ。映画会社は、主演映画が世界的なヒットを見込める俳優に高額なギャラを支払う。彼の場合、『アイアンマン』『アベンジャーズ』シリーズに長年出演しており、大ヒットを連発してきた実績がある。『インフィニティ・ウォー』のギャラはボーナスを含めてのもの。ハリウッド・レポーターは「『アベンジャーズ』のギャラには、世界興収が15億ドルを超えるとボーナスが発生する」と報じている(『インフィニティ・ウォー』の世界興収は20億4800万ドル)。

4月に公開された新作『エンドゲーム』も同様の契約と推測されるが、公開中でボーナスが未確定のため、ギャラランキングの対象外となったようだ。『エンドゲーム』の世界興収は27億8000万ドルを突破し、『インフィニティ・ウォー』を7億ドル以上も上回っている。ギャラも上回る可能性は十分だ。

ダウニー・Jr.以外にも『アベンジャーズ』出演俳優は高額なギャラを手にしており、キャプテン・アメリカ役のクリス・エバンスと、ソー役のクリス・ヘムズワースがそれぞれ2000万ドルだ。2人ともマーベル映画に出演する際に、自身の主演作や『アベンジャーズ』シリーズなど5本の出演契約を結んだ(特別出演は除く)。金額は不明だが、最初の契約では2人に興行的な実績がなかったため、低額だったと推測される。『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』の出演にあたり新たな契約を結び直し、ギャラが高額となった。

動画配信映画が高額ギャラ

男優2位はライアン・レイノルズ。動画配信サービスのネットフリックスがマイケル・ベイ監督で製作したアクション映画『6アンダーグラウンド』(19年配信予定)で2700万ドルを得た。

ネットフリックスが高額なギャラを支払うのには理由がある。映画会社がギャラを算出する際は、劇場公開時の収益に加えて、ブルーレイ・DVD販売やテレビ放映、動画配信による収益を総合的に判断する。人気スターともなるとヒット度合に応じてボーナスを加算することもある。だが、ネットフリックス映画は通常劇場公開されないため、この算出方法が成り立たない。そこで映画会社のギャラよりもやや高めに設定しているようだ。レイノルズは『デッドプール』(16年)では200万ドルといわれており、ここ3年で10倍以上に高騰した。

4位のアダム・サンドラーが手にした2000万ドルもネットフリックス映画『マーダー・ミステリー』だ。サンドラーは90年代後半から10年代前半にかけてはヒット作を連発し、ギャラも高額になっていたが、近年はヒット作に恵まれなかった。だが、『マーダー・ミステリー』は6月14日から世界配信されて、初日3日間で3086万人が視聴し、同社のオリジナル映画としては史上最高を記録した。高額ギャラの成果はあったようだ。

女優トップはスカーレット・ヨハンソンで、『ブラック・ウィドウ』(原題、20年公開)で2000万ドルを得た。彼女は『アベンジャーズ』シリーズに長年ブラック・ウィドウ役で出演しており、『アベンジャーズ』1作目のギャラは600万ドル。『ブラック・ウィドウ』はシリーズ初の単独主演映画で、ギャラが大幅にアップした。

次はアンジェリーナ・ジョリーら4人の1500万ドル。近年活躍が目立つのがジェニファー・アニストンだ。『モンスター上司』『なんちゃって家族』が興収1億ドル超えの大ヒットを記録。実績を上げるのに伴いギャラも上がり、『クレイジー・パーティ』で1500万ドルを得た。

『アベンジャーズ』出演俳優もそうだが、高額ギャラを手にした俳優はシリーズ映画やヒット作の続編出演がきっかけだ。男優では『007新作』のダニエル・クレイグ、『ワイルド・スピード』の人気キャラクター、ホブス役のドウェイン・ジョンソンと主演ドミニク役のヴィン・ディーゼル、『バッドボーイズ・フォー・ライフ』(原題)のウィル・スミス。

女優では『マレフィセント2』のアンジェリーナ・ジョリー、『ワンダーウーマン1984』(原題)のガル・ガドット、『スーサイド・スクワッド』の人気キャラ、ハーレイ・クインを主役にした『バーズ・オブ・プレイ』(原題)のマーゴット・ロビー、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』のブライス・ダラス・ハワード。前作のヒット実績に加え、出演俳優が代わるとシリーズ映画や続編が成り立たない(たまに交代はあるが)ため、俳優側が高額ギャラを要求しやすい背景もあるだろう。

トム・クルーズなどがダウン

一方、1990年代から2000年代前半のハリウッドをけん引し、2000万ドルを得ていたトム・クルーズ、ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオはランキング外。クルーズは1400万ドル(『トップガン:マーベリック(原題)』)、ピットとディカプリオは1000万ドル(どちらも『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)と報じられている。特にクルーズの激減が目立つ。人気シリーズ『ミッション・インポッシブル』の2作目と3作目でそれぞれ7500万ドルを手にしていたが、最近では主演映画がかつてほどヒットしていないためギャラ減となっている。

(ライター 相良智弘)

[日経エンタテインメント! 2019年9月号の記事を再構成]

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