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部下がメンタル不調 その時、あなたならどうする?

こちら「メンタル産業医」相談室(36)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

澄みわたる空気が心地よく感じられる季節となりましたが、あなたの心と体はお元気でしょうか?こんにちは、精神科医・産業医の奥田弘美です。さて今回は、「メンタル不調の部下に対する上司の接し方」をテーマに書いてみたいと思います。

現在、メンタル不調の社員を抱えている会社は珍しくない状態です。2019年8月に公表された厚生労働省の「平成30年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、過去1年間(2017年11月1日~2018年10月31日)にメンタル不調により連続1カ月以上休業した労働者がいた事業所の割合は6.7%となっています(受け入れている派遣労働者は含まれない)[注1]

きっと皆さんの職場でも、メンタル疾患で休職中の社員や、休職はしていないもののメンタル不調で通院中の社員がいらっしゃることでしょう。

通常メンタル不調者が出た場合、人事部門の衛生管理者や保健師が主となり、産業医とともにメンタル不調者のサポートを行っていきます。筆者自身も嘱託産業医として約20の中小企業と契約して、企業の担当者の方とともにメンタルヘルス対策に日々取り組んでいます。

しかし同調査においてメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は59.2%となっており、前年調査の58.4%よりわずかに増えたものの、まだまだ中小企業では「メンタルヘルス対策を任せる担当者がいない」「産業医もいない」というケースが少なくないようです。本稿ではそんな事業所に参考にしていただくため、メンタル不調者のサポートのヒントを紹介したいと思います。

ここでは誌面の関係上、休職中ではなく、メンタルクリニックなどに通院しながら勤務している社員へのサポートに限って書きたいと思います。また本稿で扱うメンタル不調とは、働く人の誰しもが罹患(りかん)する可能性がある抑うつ状態、うつ病、適応障害、自律神経失調症といった「うつ気分」を主体とする疾患ですのであらかじめご留意ください。

残業などの業務の軽減を考慮し、疲労を予防する

メンタル不調で治療中の社員には、当然ながら基本的に過重労働は禁止する必要があります。身体的な過労は、必ずメンタル症状を悪化させてしまうため、時間的・量的な業務軽減を行うことを検討します。

症状に応じて、残業を禁止したり、1日1時間~2時間まで月20時間~30時間までなどの残業時間制限を行ったりするのが普通です。残業制限を行っても、業務量が減らなければ業務密度が増して苦しめるだけですので、業務量も当然ながら上記の時間で余裕を持ってこなせる量に軽減します。まれに残業制限だけ行って業務量を明確に減らさないために、持ち帰り仕事をしてしまう人がいますので要注意です。

休日出勤、夜間勤務、遠方への出張も、体力的に負担になる場合が多いため、症状に応じて禁止したり軽減したりして就労を制限します。

業務内容、業務密度にも配慮する

治療中は、集中力や判断力も鈍っている場合が多いため、元気な時のようにてきぱきと仕事がこなせなくなります。また機転も利きにくく処理能力も落ちるため、同時並行で複数の仕事をこなすのも苦痛になってきます。

仕事量は「通常ならばこなせるであろう量」の6~8割程度に減らしつつ、同時並行の仕事をできるだけ発生させず、一つずつじっくりこなしていけるよう、仕事内容にも配慮してあげてください。

また複雑な人間関係は精神的な負担になりますので、他部署や取引先との折衝業務はできるだけさせないようにし、やむを得ない場合は頼りになるサポート役の上司か同僚をつけてあげるとよいでしょう。

またクレーム対応や気難しいクライアントは、精神的なストレスを上乗せしてしまうので担当させない方が安全です。

これらの業務制限、配慮についての判断は、会社のメンタルヘルス担当者が産業医と相談しつつ、主治医の意見や本人の希望、上長の意見を勘案しながら決定していくのが通常です。しかし産業医がいない会社の場合は、医学的意見を述べられる人が主治医しかいません。まずは当該社員の同意のもと主治医へ手紙を書いて、就労の措置について尋ねてみるとよいでしょう。手紙以外にも、当該社員がOKすれば、主治医に人事担当者が会って面談するのもよいでしょう。

内服している薬によっては運転や高所作業、危険作業が禁止の場合もありますので、産業医がいない職場の場合は、何らかの方法で主治医にコンタクトをとって、仕事で配慮すべき内容をヒアリングされることをお勧めします。

周りの社員には、詳しい個人的事情は漏らさない

個人情報保護の観点からも、病名や治療状況など詳しい個人的状況は、周りの社員に漏らさないようにしてください。病気の状況や体調をヒアリングする場合も、必ず別室に呼んで行うなど配慮します。

[注1]https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/h30-46-50b.html

とはいえ何も説明がないと現場のメンバーも納得できないでしょうから、説明をするとしても、「○○さんは体調不良のため、会社の判断で〇〇、〇〇の業務配慮をしばらく行います」程度の説明にとどめておくのがよいでしょう。

休職の診断書が出たら、速やかに休職させる

通院中の社員のメンタル不調が悪化し、欠勤や遅刻などの勤怠不良が月に何日にも及んでくる場合があります。そのような場合は、主治医から「休職を要す」「自宅安静が必要」などの診断書が提出されるケースがほとんどです。このような診断書が提出されたら、即時休職が鉄則です。

企業に課せられた安全配慮義務(労働契約法第5条)上、主治医が「休職が必要」と診断している社員を働かせることは絶対に避けなければなりません。申し送りや次の担当者が決まるまでということで、休職の診断書が出ても何週間も勤務させている会社がまれにあるようですが、もしそれによって病状が悪化した場合は重大な安全配慮義務違反を問われる可能性があります。

どうしても申し送りが必要な場合は、当該社員と相談して本人が快くOKしてくれた場合のみ、本人にとって負担のない時間帯に、体力的にも消耗しない方法(自宅からのメールや電話などを活用)にとどめるなど配慮が必要です。

もちろん休職に入った社員は業務を免除されて自宅で安静にすることが必要な状態ですので、傷病手当書類などの事務的な用件でメール・電話で連絡をとる以外は、仕事に関する内容を問い合わせするのは基本的には控えなければなりません。

契約や就労規則に合わない診断書の場合、どうすれば?

病状が悪化して欠勤や遅刻が続くようになった社員が、休職の診断書ではなく、まれに「当面の間、週3日程度の勤務が望ましい」とか、「午前中の勤務を免除することが望ましい」などという変則的勤務を指示する主治医からの診断書を提出してくる場合があります。同様に、休職していた社員が復職を希望してきた際に、このような「条件付きでの復職可」の診断書を提出する場合もあります。

時間や日数で契約しているパート社員の場合は診断書の指示に無理なく従える場合が多いでしょうが、問題になってくるのが週5日フルタイム勤務として契約している正社員や契約社員の場合です。

多くの場合、人事担当者が「この診断書どおりにしないといけないのか」「労働契約と大幅に異なるうえ、現場が混乱しかねない」と頭を抱えることになります。

結論から言うと、こういった場合は主治医の診断書の指示に、「むやみに」「即時」従う必要はありません。この社員は、「週5勤務」や「フルタイム勤務」が難しい健康状態であるという医師からの「意見」として受け取り、会社としてまず「どこまでの配慮が可能かどうか」を検討します。その結果、もし「週3勤務や半日勤務を会社として認められる」という結論になれば、もちろん実行しても構いません。

ただし1人の社員に変則的勤務を認めると、今後全ての社員に認めなければならないという平等性の担保が必要になってきます。また変則勤務中の給料体系はどうするのか、変則勤務は何カ月まで認めるのかといった細かなルール作りが必要になってきます。また現場での仕事の割り振りや時間管理も複雑になってきますので、現場の管理職がそのマネジメントを正確に実行できる余裕があるかどうかの確認も必要です。

前例がないような変則勤務を認めるかどうかは、就労規則や契約に関わる検討事項も入ってくるため、顧問弁護士も入れて入念に検討した方がよいでしょう。検討が長引く時は、安全配慮義務が十分に実行できないために、当該社員はひとまず自宅待機してもらうと安全です。

検討の結果、主治医の診断書にあるような「日数の軽減勤務」や「時短勤務」の実施が会社として難しいという結論になった場合は、安全配慮義務上、一度休職してもらい(復職希望の社員の場合は休職を延長し)、会社が求める最低限の就労が可能となる健康状態に回復するまで自宅療養してもらうという判断もあり得ます。この場合は当該社員に丁寧に社の方針を説明したのち、先述した方法で主治医にコンタクトをとって事情を説明し、休職の診断書の発行を検討してもらうとよいでしょう。

以上、筆者が日々産業医業務で実践しているメンタル不調社員の対応を列挙してみました。ご参考になさってください。

奥田弘美
精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント。1992年山口大学医学部卒。精神科医および都内約20カ所の産業医として働く人を心と身体の両面からサポートしている。著書には『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター)、『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想(めいそう)の普及も行っている。

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