女優山本美月さん 完璧主義から救われるマンガ
心が元気になる本&マンガ(3) 山本美月(女優)
A. 絵が好きなマンガは絶対、紙で。カバー裏の小ネタを見るのも好き
悲しくても美しい話が好き 撮影明けのマンガで号泣
『7SEEDS』で描かれた滅びのシーンに圧倒されました
「子供の頃、寝るときにいつも母が読んでくれた『赤い蝋燭(ろうそく)と人魚』という話が大好きでした。悲しい結末なんですが、情景描写がすごく美しくて」
そんな山本美月さんが読むのは主にマンガ。「小説的な表現で、行間を読むことを求めるようなマンガが好きです。志村貴子さんとか。小説でも、自然や人間関係などがきれいに描写されている話が好き」
最近知った注目作が『ニジとクロ』。大好きな作品『かんなぎ』作者の新作として読んだが、「謎の生き物『ニジ』が理屈抜きでかわいい! それに主人公クロの完璧主義が、ニジと出合い緩んでいく姿を見ると、私にも完璧主義の傾向はあるのでほっとした気持ちになります」
4月から6月まで放送した『パーフェクトワールド』で、地上波で初めてメインヒロインに挑んだ。「セリフもスケジュールもぎっしりで、撮影期間はほとんど何も読めなかった。終わって最初に読んだのが『恋のツキ』の最終巻なんですが、緊張から解放されたせいか、いつもより余計に号泣しました」
『ニジとクロ』 武梨えり作
一迅社/800円(1巻、税別)※現在1巻、刊行中
「武梨さんの動物の描き方が好き。笑いがもぞもぞっと込み上げます」
ひょんなことから、人の言葉をマネする架空の生き物「ハッピーマウス」のニジを飼うことになった女子大生クロの物語。「武梨さんの描く人や動物が大好きで、もぞっと笑いがこみ上げてくる感じ。絶対、アニメ化されるはずです」
『7SEEDS』 田村由美作
小学館/400円(1巻、税別)※全35巻
「作者の想像力がとにかくすごい。生物学的な要素も好みです」
目が覚めると、知らない人々と一緒に嵐の海を漂流していた少女ナツ。無人島でサバイバルに明け暮れるうちに、"人類滅亡"の真実が明らかになっていく。「キャラというより世界観、作者の想像力に圧倒されました」
『噛みあわない会話と、ある過去について』
辻村深月著 講談社/1500円(税別)
「女性なら誰でも共感できるはず。美しくて、もやもやを残す作品です」
「コミュニケーションがうまくいかなかった過去」を共通テーマとした短編小説4作。「どれも、女性なら『あるある!』って思う情景をすごくリアルに描いています。心にもやもやを残す作品ですが、絶対面白いはず!」」
1991年福岡県生まれ。高3 だった2009年からCanCam専属モデルとして活躍、11年に女優デビュー。自他共に認めるマンガやアニメのオタクで、自作のイラストもSNSなどで公開する。
写真/窪徳健作 スタイリング/黒崎 彩 ヘアメイク/北 一騎 取材・文/臼田正彦
[日経ウーマン2019年9月号の記事を再構成]