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ハーバードが学ぶ日本企業

日本企業のイノベーションのカギは ハーバード大教授 ハーバードビジネススクール教授 ゲイリー・ピサノ氏(下)

2019/10/4

佐藤 イノベーションの観点から、日本の製造業の展望についてお聞かせください。

ピサノ 世界的にみても、日本の製造業が依然として強いことに変わりはありません。ホンダジェットから私が学んだのは、日本企業のイノベーション力は、長期的な視野で物事を考える風土から生まれていることです。これが日本の製造業の強さにつながっていると思います。

■合議制はイノベーションの敵

佐藤智恵(さとう・ちえ) 1992年東京大学教養学部卒業。2001年コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。NHK、ボストンコンサルティンググループなどを経て、12年、作家・コンサルタントとして独立。「ハーバードでいちばん人気の国・日本」など著書多数。日本ユニシス社外取締役。

しかしながら課題もあります。特にイノベーションを生み出すのに大きな足かせとなっているのは、合議制による決断プロセスです。合議制は「イノベーションの敵」なのです。

「経営陣全員が賛成しないといけない」いうルールですと、承認までにものすごく時間がかかります。日本企業の場合、小さな投資、少額の出費でも稟議(りんぎ)で決めますが、これはグローバルビジネスにおいては致命的です。日本企業が時間をかけて議論をして根回しをして合意を形成している間に、他国の企業がさっさと似たような製品やサービスを市場に出してしまうでしょう。

これは日本企業の文化に関わる問題であることは理解しています。しかし、この課題を克服しないと、ますます他国の企業に後れをとってしまうでしょう。

佐藤 今後、研究したい日本企業はありますか。

ピサノ 日本の自動車メーカーはすべて興味があります。電気自動車はもとより、今後自動運転車をどのように開発していくのか。日本のメーカーがこれまでと同じように世界の自動車業界を主導できるのか、注目しています。

自動運転車が主流になってくれば、世界の自動車業界全体の勢力図もかわってくるでしょう。こうした中、日本企業がどのように変遷していくのか。自動車業界の行方は日本経済全体にとっても重要なことだと考えています。

それから航空機業界では、MRJ(三菱リージョナルジェット)に興味があります。もしMRJが協力してくださったら、ぜひ教材を書きたいと思っています。

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ゲイリー・ピサノ Gary P. Pisano
ハーバードビジネススクール教授。専門は経営管理。主にテクノロジー戦略、オペレーション戦略、イノベーション・マネジメント、競争戦略を専門に研究。同校のMBAプログラムにて「成長企業のマネジメント」、エグゼクティブプログラムにて「収益性の高い成長の推進」を教えている。2009年にハーバード・ビジネス・レビュー誌に発表した論文「競争力の処方箋」は、マッキンゼー賞を受賞した。近著に「Creative Construction: The DNA of Sustained Innovation」(2019, Public Affairs)。

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