STU48、瀬戸内のシンボルになりたい 船上公演始動
瀬戸内7県を拠点に活動するSTU48。今年4月に念願の船上劇場がオープン、7月には今年2枚目のシングル『大好きな人』をリリースして、活気づいている。
STU48とAKB48を兼任するキャプテンの岡田奈々。デビュー以来シングル3曲連続でセンターに立つ瀧野由美子。共にダンススキルに定評があり、『大好きな人』で瀧野の両サイドを固める石田千穂と今村美月に話を聞いた。
瀧野 『大好きな人』はSTU48が初めて夏にリリースしたシングルです。曲調は明るいけど、恋人との別れを決意した主人公が「大好きな人しあわせになれ!/海に向かって大声で叫んだ」という歌詞がすごく切なくて。
岡田 船上劇場が完成して最初のシングルなので、「出航だ!」という感じをみんな想像していたから、予想外でした。でも、だんだんと歌詞が切なくなるからこそ、キラキラしたメロディーが際立つんだと気付いてきました。
石田 私は「どこか不安げな背中を押したくて…」というところが気に入っていて。悲しい感じもあるけど、この曲は『ペダルと車輪と来た道と』や『夢力』と同じ応援ソングだと受け止めています。
今村 私も同じかな。自分は苦しくても、好きな相手のために背中を押してあげるんだという真剣な感情が伝わるように、レコーディングでは一生懸命切ない声を出しました。ちょっと、眉間にしわが寄っていたかもしれないです(苦笑)。
岡田 今までの曲のなかで、歌うのが一番難しいですね。まずAメロはすごい低音から始まるんですが、サビはすごく高いところもあるんです。
瀧野 私は言葉数が少ないからこそ難しいと思いました。これまでは『暗闇』などすごく言葉が詰まっていた曲が多かったから、1つひとつの歌詞に対して感情を込められるように意識しています。
石田 でも振り付けは、ファンの方と一緒にできるシンプルなものです。MVではたくさんのファンの方とSTU48号で、"瀬戸内の波を思わせるウェーブ"をそろえたときに一体感を感じました。
瀧野 『大好きな人』はSTU48で初めての全員選抜曲。振りの撮影では、全員でカノンという少しずつずらしてそろえるところが好きです。そのシーンでは1人でもタイミングが合わないとうまくいかなくなってしまうので、みんなでカウントを確認し合っていっぱい練習しました。
岡田 ゆみりんは3曲連続センターだね。
瀧野 今回が一番プレッシャーを感じずに楽しめています。全員と一緒に歌っている感じがすごくするおかげかな。
岡田 MVでは私だけ東京から広島駅に来て改札を出るシーンを撮りました。その後、みんなは制服で自分だけ私服の衣装で合流するので、引率の先生感がすごかった(笑)。でも、それもAKB48を兼任している日頃の私そのままだし、船上劇場の様子やみんなのかわいさや透明感が前面に出ていて、「これが今のSTU48です」と言える映像になっています。
幅広い世代から愛されたい
17年3月の活動スタートからの念願だった船上劇場「STU48号」が19年4月にオープンし、話題が続く彼女たち。ここでパフォーマンスするのは「GO!GO! little SEABIRDS!!」と名付けられたオリジナル公演。構成・演出をパフォーマンス集団「THE CONVOY SHOW」を主宰する今村ねずみ氏が手掛けたこの公演は、AKB48グループ以外の楽曲をカバーしたり、メンバー同士のMCを最小限にとどめるなど、独自色の強い内容だ。
石田 STU48号は屋上デッキもあるし、劇場に窓があって、外にはまた違う景色が広がっているのも素敵。でも、やっぱり今までにない、かっこいい公演がここでしか見られないというのが一番の特徴です。
今村 最初にセットリストを聞いたときはビックリして。でも、今村(ねずみ)さんの「AKB48グループをあまり知らない方でも楽しんでもらえるような公演にしたい」という言葉を聞いて、一生懸命練習しました。楽器やバレエなどで、1人ひとりが思いや個性を伝えられる場面もいいですね。
岡田 最初は不安のほうが大きかったです。別のアーティストさんの楽曲がたくさんあったり、歌わずに踊るだけのシーンも多かったりして、約7年間AKB48にいる私も初めての挑戦が多かったから。でも、みんな個性もやる気も見せてくれた。この経験でグループが1つ成長しました。
石田 他のアーティストさんの海ソングをカバーするパートでは、お母さんがカラオケで歌っていた『亜麻色の髪の乙女』(1968年)、Tik Tokではやっていた『め組のひと』(83年)、あと『島唄』(92年)の3曲は知っていました。
瀧野 私もその3曲しか最初は知らなかったんですけど、自分が歌わせていただいている『瞳を閉じて』は松任谷由実さんの曲なんです。最初に聴いたときからいいなと感じて、このパートで一番好きな曲になりました。
岡田 私は『街の灯り』(73年)を歌わせていただいています。最近この曲が、祖父のカラオケでの十八番だと知って、先日デュエットをして喜んでもらえました。
今村 私は最初の『フライングゲット』『ヘビーローテーション』『風は吹いている』『365日の紙飛行機』と続く、AKB48さんのカバーパートに一番注目してほしいです。どれもイメージが異なる曲なので、歌詞をよく読んで表情を全部変えています。
瀧野 いよいよ船上劇場公演もスタートしたし、今年2枚目のシングルもリリースできるし、この勢いで、瀬戸内のシンボルのようなグループになりたいです。劇場公演でも幅広い世代の方に届く曲を歌っているので、老若男女のみなさんに愛されるようになりたいです。この前、山口での番組で、60代のご夫婦の方から「STU48を初めて見たけど応援するよ」というメッセージをいただいたのが、すごくうれしくて。
今村 『大好きな人』は全員選抜なので、この機会にまずは地元、瀬戸内のみなさんにメンバーみんなの顔と名前を知っていただければ。地元でロケをしていると、以前は「誰?」という声もあったのですが(苦笑)、最近は名前を呼んでもらえることが増えてきているので、やりがいを感じています。
石田 それと、せっかくSTU48号が完成したので、船でいろいろなところに行って公演したくて、パスポートを取りました!
今村 意気込みはすごいけど、海外進出は少し気が早いかも(笑)。
岡田 AKB48はゆきりんさん(柏木由紀)がセットリストを考えた新公演(『僕の夏が始まる』)がスタートしたので(19年6月~)、私もいつか自分のプロデュース公演ができたらいいなという思いがあります。「GO!GO! little SEABIRDS!!」は1人ひとりのカッコよさやダンススキルなどを引き出す公演ですが、私はみんなの個々のかわいさにスポットライトを当てたいです。
3人 楽しみにしています!
岡田 みんなと一緒にいると、すごくピュアな気持ちになれるんですよ。だから、ファンの方にも応援していると心が洗われたり、穏やかな気持ちになってもらえるグループでありたいなと思います。
全5タイプが発売。3曲目がタイプごとに異なり、表題曲に加え、合計6曲のカップリング曲も収録。(キング/TypeA~D・DVD付き各1574円、劇場盤・1019円・いずれも税別)
DVDに収録する『大好きな人』のMVでは、STU48号の車両甲板や船上劇場、そして屋上デッキなどでの、メンバーたちの躍動感あふれる姿が映し出される。
(C)You, Be Cool! / KING RECORDS (C)STU/KING RECORDS
(日経エンタテインメント! 伊藤哲郎)
[日経エンタテインメント! 2019年9月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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