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絶滅危機キリン、「楽園」の生息地求め危険な引っ越し

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/10/6

ナショナルジオグラフィック日本版

チャドのザクーマ国立公園で首をこすり合うコルドファンキリン。争いの前兆か、何らかの意思疎通かもしれない。ここはコルドファンキリンにとって比較的安全な生息地で、世界全体の個体数の半分以上が暮らしている(BRENT STARTON)

アフリカ大陸にすむキリンは現在11万頭まで減り、地域によってはかなり厳しい頭数にまで追い込まれている。ナショナル ジオグラフィック2019年10月号では、野生のキリンが置かれた現状と、キリン保護のため、国を巻き込んで保護を進める人々をリポートしている。

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アフリカではこの30年間でキリンが4割近く減少し、現在の生息数は約11万頭だ。動物保護団体「キリン保全財団」(GCF)の共同代表を務めるジュリアン・フェネシーは、この状況を「静かなる絶滅」と呼ぶ。ゾウや大型類人猿が姿を消すことには注目が集まるが、野生のキリンが危機的状況にあることはほとんど知られていない。

実際、キリンがたくさんいる場所もある。南アフリカ共和国とナミビアでは、「狩猟動物ファーム」と呼ばれる民間養育施設が野生動物の個体数を押し上げている。この数十年でキリンの数がほぼ2倍に増え、合法的な狩猟も行われている。だが東アフリカでは、アミメキリンとマサイキリンが厳しい状況に直面している。またウガンダを中心に生息するヌビアキリンは、この30年で97%も減少し、大型哺乳動物のなかでも特に絶滅の危険性が高い。

「ケニア南部では、フェンスが原因でキリンが死んでいます。これは密猟以上に深刻な脅威です。キリンはフェンスを飛び越えられないため、生息範囲が分断されてしまうのです」。そう話すのは、GCFのコーディネーターで東アフリカを担当するアーサー・ムエンザだ。

ここでキリンの種について説明しておこう。2016年、ある研究チームがキリンに関する新しい学説を発表した。それまでキリンは1種(Giraffa camelopardalis)しか存在しないとされてきた。ところが遺伝子解析によると、キリンは4つの種に分類できるというのだ(まだ異論はある)。しかも、それぞれの種はヒグマとホッキョクグマの関係よりも遠縁であるという。

さらにこの4種の下に五つの亜種があり、これから紹介するナイジェリアキリン(Giraffa camelopardalis peralta)は、その一つだ。そして、三つの亜種が絶滅の危険性が高いとされている。

人口増加や家畜の過放牧、気候変動によって、牧畜民や農民は手つかずの原野も利用せざるを得なくなり、キリンの生息地を脅かしている。

ニジェールは特にキリンの数が少なく、1996年には49頭にまで落ち込んだが、その後20年余りで600頭にまで回復した。アフリカの野生動物保護では最大の成功例といえるが、これには訳がある。

2011年、ニジェール政府はキリンの保護を目的とした保護プログラムを策定した。アフリカ初の試みだった。密猟を徹底的に取り締まったおかげもあり、クレ地方のキリンは順調に数を増やしていく。しかし、年に11%以上ものペースで急増したせいで、農家や牧畜民との衝突が避けられなくなった。ナイジェリアキリンの数を健全に増やすためには、別の場所に新たな生息地をつくる必要があった。

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