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光で色が変わる新素材 カメレオンの原理で開発

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ナショナルジオグラフィック日本版

カメレオンは、体の色をいとも簡単に変えているように見える。敵を威嚇したり、背景にとけ込んだり、交尾の相手を探したりするとき、皮膚の色を短時間で変えることができるからだ。

科学者たちは何十年も前から、この仕組みを解き明かそうとしてきた。そしてこのほど、太陽の光を浴びると色が変わる新しいスマート(賢い)スキンの開発に成功した。

「自然界ではいつも起きていることですが」と米エモリー大学の生物工学者ハリド・サライタ氏は前置きしたうえで、「直射日光によって、色の変化を引き起こすことに成功しました」と述べた。氏らの論文は2019年9月11日付けで学術誌「ACS Nano」に発表された。

このスマートスキンは迷彩服から塗料、化学センサーまで、あらゆるものの材料として利用できる可能性がある。

米ノースイースタン大学の生化学者レイラ・デラビ氏は、新しいスマートスキンは「工学者にとって大きな課題」を解決するものと評価している。というのも、従来のやり方とは違い、素材の体積を維持したまま色を変化させられるからだ。なお氏は今回の研究には関わっていない。

カメレオンにならって

ハリー・ポッターが透明マントを身に着けるはるか前から、動物たちは体の色を巧みに操ってきた。カメレオンはもちろん、熱帯魚やタコ、イカなどが、この能力を独自に進化させている。

こうした動物の皮膚細胞には、フォトニック結晶と呼ばれる小さな結晶がびっしり詰まっている。固有の色を持つ色素と異なり、これらの結晶は大きさや化学組成、配置によって光の反射・散乱のしかたが変わり、色が変わる。

2015年、学術誌「Nature Communications」に論文を発表した別の研究チームは、カメレオンには「普通」の皮膚細胞のほかに、グアニン結晶を含んだ細胞の層があることを発見した。体色を変えるときは、結晶を含む細胞を自在に伸縮させ、さまざまな波長の光を反射する。同時に、普通の皮膚細胞も隙間を埋めるように伸縮する。

研究室で色が変わるスマートスキンを作るとき、ゼリー状のポリマー化合物にフォトニック結晶を埋め込むのが典型的手法だ。今回の論文の著者であるイーシャオ・ドン氏はさらに工夫して、カメレオンの皮膚と同じようにポリマーを2層構造にすることを提案した。ドン氏はサライタ氏の研究室に所属する博士課程の学生だ。

「完璧な解決策だと思いました」とサライタ氏は振り返る。

光を浴びると色が変わる

研究チームが作ったのは従来のシリコーンのブレスレットのようなものではなく、薄くて柔軟な構造をしている。2つの層のうちの1つには、酸化鉄と二酸化ケイ素のフォトニック結晶が埋め込まれている。化学的には「鉄さびの核を砂の殻が覆っているようなものです」とサライタ氏は説明する。もう1つの層は、無色のポリマーでできている。

サライタ氏らはこれに太陽光とレーザー光を当てた。スマートスキンを開発する従来の研究では、色の変化を起こすのに高圧電流を用いるのが一般的だった。

ある実験では、ドン氏は木の葉の形をした黄色いスマートスキンを用意した。太陽の光を当てて5分後、スマートスキンは緑色に変色。研究室の外で集めてきた本物の木の葉にとけ込み、迷彩として利用できる可能性を示した。その後、ドン氏とサライタ氏はレーザー光を使うことで、さらに短時間で色変化を引き起こした。

「光で色を変えるのは賢い方法だと思います」と、デラビ氏は今回の研究を評価する一方で、スマートスキンを実用化するにはまだ時間がかかると考えている。

最大の課題の一つは、衣服やパネルなどに利用できる大きさのスマートスキンをつくることだ。動物ははるかにうまく色を操り、人工材料より劇的な変化を生み出すと、サライタ氏も指摘している。

今回のスマートスキンは、周囲の環境に応じて色を変えることはまだできない。デラビ氏によれば、おそらく頭足類やカメレオンは皮膚の内部で光を感知しており、これを再現するには、複雑な光学的な仕組みが必要だという。

研究成果の実用化は「学術研究の不変の難題です」。それでも、取り組む価値はあると、デラビ氏は考えている。

動物たちは何百万年もかけて進化し、体の色を変化させる完璧なシステムをつくり上げてきた。科学者たちがその秘密をいくらか拝借しようとするのも当然だ。「このポリマーが理想の材料に生まれ変わる可能性は十分あります」とサライタ氏は述べている。

(文 CARRIE ARNOLD、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年9月15日付]

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