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育児中の社員も働きやすい雰囲気がチームワークを高める。画像はイメージ=PIXTA

育児中の社員も働きやすい雰囲気がチームワークを高める。画像はイメージ=PIXTA

新しい働き方は「チーム主体」だといわれる。しかし、同期や先輩・後輩との競争を強いられてきた世代にはチームで働くスタイル自体になじみが薄い。「チームワークの会社」とも呼ばれるサイボウズで、同社が運営するウェブメディアの編集長を務める藤村能光氏は「チームワークは面白いし、若い世代でなくてもチームに溶け込める」という。『「未来のチーム」の作り方』(扶桑社)を書いた同氏に、新しいスタイルで働くコツや強いチームづくりのポイントを教わった。

もともとは一匹おおかみ

「もともとは一匹おおかみ的な働き手だった」。藤村氏は昔の自分をこう振り返る。そもそもサイボウズの生え抜きではない。神戸大学を卒業した2007年にIT(情報技術)系ニュースサイトを運営するアイティメディアに入社し、ウェブ媒体の編集記者を務めていた。サイボウズに移ったのは、約4年後の11年。同社が多様なコンテンツを自ら企画、編集して発信しているオウンドメディア「サイボウズ式」の立ち上げにかかわり、15年からは編集長職に就いている。

チームビルディングの本を書き、編集長として編集スタッフを率いる立場にあるが、「決してリーダータイプではない」と自分を分析する。「前に出たくない。どちらかといえば参謀タイプが向いている」。だから、編集会議を取りまとめる立場になっても、明確なビジョンが打ち出せず、「もやもやしていた」(藤村氏)。

会議では仕切り役を任されるわけだが、これがゆううつだったという。「どう会議を回せばいいかわからず、取材テーマを決めるジャッジにも自信が持てなかった」。考え方が変わるきっかけの一つになったのは、サイボウズ式で最大のヒット記事。営業チームの一人が大事な商談の日に子供を保育園に預けられなかったので、営業チームで子守をした様子をつづった記事だった。

編集部員ではなく営業担当者からの発案だったうえ、藤村氏自身はあまりピンとこなかったのでさほど乗り気ではなかったという。しかしながら、公開したところ予想を上回るヒットに。1週間で10万ページビュー(PV)を稼いだ。当時は月間20万PVだったサイボウズ式にとっては、記録的な大当たり。大ヒットが編集担当者以外のアイデアから生まれたのをみて、藤村氏は考えを改めた。

「自分がリーダーとしてぐいぐい引っ張っていく必要はない。むしろ、チームみんなのアウトプットを引き出す役目に取り組もう」。藤村氏はリーダーシップの定義を自分流に書き換えた。メンバーそれぞれが心の底で「やりたい」と願っている事柄の実現に手を貸すのが「フジムラ式」のリーダーシップだ。個人インセンティブの最大化を通じて、チームパフォーマンスを高めるアプローチともいえるだろう。

メールの文面をチーム全体に開示

藤村氏がすごいのは、役割を変えることに関して「すっぱり割り切れた」という点だ。大抵のリーダーは自分が主導的な立場であり続けようと立ち回る。「最も正しい判断を下し、議論を方向づける」ことがリーダーの仕事だと信じて疑わない。しかし、藤村氏は「スティーブ・ジョブズ(米アップル創業者)のような理想的なリーダー像は、自分には無理だとわかっていた。自分はそんなに偉くない」と認める。自分を客観的にキャラクター分析できる目を持っているところが藤村氏の強みだ。

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