■3.エスコート=相手を大事におもうこと
「エスコートをちゃんとしてくれない」という不満を持つ女性は少なくないですね。「もう、全然ダメな感じでした。椅子を引いてとは言ってないのに……」などの愚痴をけっこう聞きます。前回登場したEさんとF氏を覚えているでしょうか。F氏は工夫したおしゃれはしていたけれど、TPO感覚が弱く、良いレストランにはちょっと雰囲気が合わない服装をしてきました。

あの続きでは、F氏が女性のEさんを差し置いて先に奥の席にどかっと座ってしまったため、Eさんの不満度は一気に上がったそうです。「何も椅子を引いてとか、完璧なオーダーをして、などは期待しないけど、女性をさしおいて先に、というのは見た目にもカッコ悪いです。レストランの人が気の毒そうにこちらをチラと見てきたのも恥ずかしかった」
椅子を引いたり、コートを着せかけたり、という行為がレディーファーストにおけるエスコートだと思われていて、「したことがない」「苦手」と及び腰の男性をよく見かけます。しかし、エスコートというのは、基本的に「相手がきちんともてなしを受けられるように気を利かせる」ことで、感覚としては「相手を大事に扱う」ということと「相手が大事に扱われているように感じることができる」ということの両方が大切です。
ごくフォーマルなパーティーならともかく、日常のデートくらいなら、よほど自己中心的な人でない限りは、そういった感覚で振る舞うことはそれほど難しいとは思えません。「レディーファースト」は、女性が1人いたら、その女性に丁寧に接することですが、女性に限らず、お客様を接待するときも同じ感覚です。
少なくとも普通の社会人であれば、お客様を差し置いて、奥の席に先にどかっと座るようなこともないはずです。ドアを開けて先にお通ししたりするでしょう。またコートを着る時、手を通しやすいようにちょっと手伝ってあげるくらいはできそうです。
「レディーファースト」は国際的に「常識」とされている感覚なので、「これをしなければならない」と構えすぎて、できないのは、行動としては素っ気なかったり思いやりのないように見えます。海外の人から見るとそれだけで全然品格が感じられないように思われることもあるのです。最近は意識する人も増えていて、「できる人」「できない人」の二極化も進んでいくでしょう。積極的にできるようになったほうが、これからはデートでもビジネスでもプラスになります。
いかがでしょうか? デートでは「最初にまず期待感に応え、信頼を勝ち取る」「人をもてなす際の重要ポイントを外さない」というセンスが大切とお伝えしたく、例やポイントをお話ししました。
最初にも申したように、デートでのそういったセンスは、ビジネスでの行動にも同様に大切です。ぜひお話ししたことに気をつけて「できる男」感をプライベートでもビジネスでも発揮してください。

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