10年ほど前からGPSを利用して北米のハイイロオオカミが追跡調査されている。一連の調査を通じて、オオカミがビーバーを襲って食べたり、ブルーベリーを食べることがわかってきた。
2012年以来、米国ミネソタ州、ボエジャーズ国立公園で、生物学者たちは12の群れの74匹のオオカミに発信器を取り付け、各個体の位置情報を集積してきた。科学捜査班のように糞を収集し、獲物を狩った現場を調べ上げることで、研究者たちはオオカミが、どんな獲物をどのように狩っているかがわかるのだ。
狩りをするハイイロオオカミと言えば、群れでシカを追うイメージがあるだろう。しかし、単独ではビーバーを待ち伏せして沼に潜むことがある。ほかにも、ハクチョウやカワウソ、魚のほか、ブルーベリーまで食べていることを発見した。
「オオカミの行動パターンは、多くの人が考えていたよりもずっと柔軟なものだということがわかってきました」と研究者の一人ゲーブル氏は話す。
これまでに、ボエジャーズのオオカミは季節ごとに様々なものを食べていることがわかった。冬には群れを作り、互いに戦略的に協力して大きなオジロジカを追う。だが春になると群れは散らばって、多くの個体が単独で小さな獲物を追う。
オオカミが、捕まえられるものは何でも食べることは、すでに生物学者に知られていた。しかし、ボエジャーズの研究は、オオカミがどのようにして獲物を狩るのかがわかったという点で重要な意味がある。
(日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック 2019年6月30日付記事を再構成]
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