銀行や家電メーカーが相次ぎデニム通勤の解禁に名乗りをあげている。肩肘張らないカジュアル化の進展に職場は歓迎ムード一色かと思いきや、意外にも社員らの間からは困惑の声が聞こえてくる。理由は「デニムのほどよいコーディネートがわからない」。取引先などの相手にも好印象を持たれるデニムスタイルを模索する彼らに、メーカーはどう応えるのか。ユニークな商品開発で知られるエドウインの社長に2018年4月に就任して以来、「ビジネスデニム」の可能性を探ってきた林史郎氏(58)は「働き方改革は穿(は)き方改革」と明言する。デニムコーデを指南してもらった。
■新商品コンセプトは「デニムとスラックスの間」
――20年春にもビジネスデニムの大型商品を出すそうですね。名前は「デニスラ」、デニムとスラックスを合わせた造語で、ご自身のアイデアとか。どんな商品ですか。
「デニムとスラックスのいいとこどりです。いままではいてきたスラックス、スーツの感覚からできるだけ自然に移行できる形で、接客や商談を想定しても失礼にあたらない、まさに『デニムとスラックスの間』というコンセプトで開発しました。素材はストレッチが効いて動きやすく、出張のときなどめちゃくちゃ楽なんですよ」
――「おっさん発想」を取り入れたと聞きました。
「それが大事なポイントでした。我々は白いシャツをジーンズにインして着ると色落ちしないか気になってしまう。とはいえシャツがだらしなく外に出るのも嫌ですし、ポケットは横から手が入るタイプが好きなんです」
――中高年サラリーマンの「あるある」ですね。
「そうした僕ら世代だから分かる『おっさん発想』をぶち込んで、色落ちしない染料を使い、ベルト内側には滑り止めをつけ、横から手が入る斜めポケットにしました。普通のジーンズばかりはいている若い世代には気付きにくいポイントです」