チタン製品が注目されるきっかけになった中華鍋

遠藤商事「純チタン北京鍋」。上から、小(税別2万4000円、直径27cm、重量450g)、中(税別2万6000円、直径30cm、重量510g)、大(税別3万円、直径33cm、重量570g)、板厚1.2mm

料理のプロのなかで、もっとも鍋の重さに対して改良してほしいと思っていたのが、中華料理人ではないでしょうか。中華鍋は振りながら調理するもの。特にチャーハンや炒め物はスピード勝負です。一般的な中華鍋は鉄製のため、重さもそれなりにあり、手首や腕を痛める人も多かったのです。さらに、料理人の高齢化、女性の進出が盛んになってきたこともあり、鍋の軽量化が望まれていたようです。

そこに登場したのが、チタン製の中華鍋です。今では、中華料理人でこの鍋を知らない人はいないほどの人気商品で、飯田屋にも日本全国から問い合わせがきます。

しかし、チタン製の鍋には大きなデメリットがあります。チタンは熱伝導率が悪い金属。熱を蓄えておく力や、熱伝導率は鉄のほうが格段に良いのです。チタンの場合、火が当たっている部分の熱は急激に上昇するのですが、その周りに熱が伝わるのは時間がかかります。つまり、火が当たっているところの食材だけすぐに加熱されてしまうので、テクニックが必要になってくるのです。対策としては、常にかきまぜていること。

例えば、チャーハンをチタン鍋で作る場合は、軽量なので振るのは簡単ですが、鍋を振りながら、食材を常にかき混ぜていないと、パラパラのおいしいチャーハンはできません。鉄の中華鍋と同じ感覚で調理すると失敗すると思います。なれるまでは少し時間が必要かもしれません。でも、そんなデメリットがあるのにこの中華鍋は売れています。それだけ軽さが重要だということですね。料理の腕に自信がある方はぜひ挑戦してみてください。

時短で焼き料理が完成するチタン製フライパン

長谷元「純チタンフライパン」(税別1万6000円、直径26cm)

チタン製の鍋は、熱の伝導率は悪いのですが、火が当たっている部分は急速に加熱されるという特性があります。それをメリットとして活用したのが、フライパンです。

急速に加熱されるので、焼き料理なら、短い時間で出来上がります。注意したいのは、火が当たっている中心部分に食材を置くこと。そして、急速に加熱されて熱が上がりすぎてしまうので、天ぷらや揚げ物には使えません。空だきも禁止など、一般的な鉄のフライパンと同じ感覚で使用すると危険なことがあります。火加減は中火が最適。もし数枚のフライパンを持っているなら、焼き物はチタン製で調理し、揚げ物などは別の鍋を使うなど、使い分けるといいでしょう。

何かと注意が必要ですが、チタン製鍋ならではのメリットもたくさんあります。鉄フライパンのように、油慣らしがいらないこと、洗剤でゴシゴシ洗えるので清潔に保てること、そして、鉄のように匂いがなく、ほぼ無臭なので、食材本来の味を生かせることです。

チタンはまだまだ高額ですが、軽量なのが一番の特徴。高齢化社会に最適の素材なので、今後は量産されていく可能性もあります。もっと求めやすい価格になったら、面白い商品も登場すると思います。今後期待したい素材です。(談)

(文 広瀬敬代、写真 菊池くらげ)

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