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定年後の転職は受け入れ先探しで苦労するケースが少なくないという。写真はイメージ=PIXTA

定年後の転職は受け入れ先探しで苦労するケースが少なくないという。写真はイメージ=PIXTA

リクルートワークス研究所が8月に発表した『再雇用か、転職か、引退か「定年前後の働き方」を解析する』調査報告によると、50代正社員男性のうち、定年が「ある」と回答した人は85.5%で、そのうちの67.2%が60歳定年に集中しているそうです。定年後の雇用継続を導入する企業は増加しているものの「年収が半減する」というケースも多く、60歳直前で一大転機を迫られ、戸惑う人も多数生まれています。今回は、そんな状況にどう向き合っていくべきかを考えてみます。

「3カ月前の今年6月に、60歳の定年退職を迎えました。その際、あえて再雇用ではなく、転職をしようと決意しました。生涯現役に向けて、いかに自分が世の中に貢献していけるかを最優先に考えた結果です。現在も求職活動中ですが、なかなかいい出会いがなく困っております。希望条件としては、これまで私が40年近く電機メーカーで、営業・人事・法務など幅広く経験してきた実績を生かしていければと思っております。ぜひこのような自分に合う求人案件を探していただきたくよろしくお願いいたします」

先日、60歳の求職者から弊社宛に、上記のような大変丁寧なメールをいただきました。希望条件に基づいて、何とかお役に立てるよう企業に打診しているところですが、60歳の節目で、いったん定年としているところが多いこともあり、『自社で数十年貢献してくれた社員を定年で送り出しながら、他社からの定年退職者を受け入れるのは難しい』とお断りされるケースがほとんどです。時間がかかる可能性が高いですが、粘り強く可能性がある企業に継続的に打診を続けて、突発的な欠員募集などのタイミングを待つという方法が現時点でとれる最善の手段となっています。

この事例のように、本来、できれば2、3年前、もっと欲を言えば10年前ぐらいの段階で、先を見越した動き方ができていると、今とは全く違う選択肢があったのではないかと思われるケースは多数あります。特に40歳を超えてからのキャリア形成は、できるだけ長期的なレンジで未来を予測して、早めに手を打つことが重要です。しかし、現実には多くの人はタイミングを先延ばしにしてしまう傾向にあります。

なぜ定年間際まで「思考停止」に陥るのか

決断が遅れる、または決断するまでに時間がかかってしまうにはいくつかの理由が考えられます。

一つ目は会社側の理由です。

・会社としては、自社での経験があり成果が読める人材には、活躍できる限界まで現場でやってほしい

・現実に取締役などに昇格できる可能性が薄かったとしても、その可能性を感じてもらいながらモチベーションを維持してもらいたい

その結果、定年ぎりぎりまで人材を使いながら、定年を超えると「年収半減でもよければどうぞ」という形の選択を迫ることになるという構造です。

一方、個人側の理由としては、

・40歳や50歳を超えてから、新天地でゼロからスタートするのはリスクがあるので避けたい

・せっかく長く勤めた会社で愛着もあるのだから、昇格の可能性を最後まで追いかけたい

・とりあえず今すぐの決断を迫られているわけではないから、あえて急ぐ必要はない

という心理が働いて、「なんとなく予感していた未来」が、目の前の現実となるまで対策に手を付けずに、時間だけが経過してしまう、ということになりがちです。

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