Men's Fashion

1着目あつらえるなら グレー無地が断然おすすめ

石津祥介のおしゃれ放談

初めてのオーダースーツ(下)

2019.9.27

前回では好みのフィッターを見つけ、好みを知ってもらうという「すし屋理論」を紹介した。今回は初心者にとって難しい生地選びだ。よりどりみどりの見本帳を開けば、つい目移りしてこれぞという1枚をなかなか決められない。迷ったときに心がける点は何だろう。また、いろいろと用意されたオプションの中に優先すべきものはあるだろうか。前回に続き三陽商会のパーソナルオーダースーツブランド「STORY & THE STUDY(ストーリー&ザ スタディ)」(東京・銀座)で服飾評論家、石津祥介さんと同ブランド企画課長の猿渡伸平さんが、初心者向けのオーダースーツの心得を説いていく。

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■スーツで一番見せたいのは肩や襟

――パターンオーダーのデザインは4つのスタイルが用意されています。それぞれどんなスタイルでしょう。

猿渡「ボックスシルエットのリラクシングトラッドはナチュラルショルダーで、胴回りはそれほど絞っていません。英国正統派ブリティッシュオリジナルは肩と胸の構築感があります。柔らかい芯を採用したイタリアンモダンは胸のボリュームが特徴。最後は芯がなくて軽さを追求したニューテーラードです」

――印象がずいぶん異なります。初心者でオーソドックスなものを選ぶとしたらどれでしょう。

「スーツでの勝負どころは肩や襟なんだ。だからこの店のトルソーももう少し目線に合わせて置いた方がいいよね」

猿渡「シングル3つボタン段返り。リラクシングトラッドがいいでしょう」

石津「スーツで一番見せたいのは肩や襟。ここが勝負です。だからトルソーは目線の高さに置いてほしいな……。トラッドといってもゴージラインがずいぶん高いね。僕はニューテーラードかな。カジュアルダウンが世の中の流れですから、いまの気分では頑張っていないデザインがいいと思います」

――体形をよりよく見せるというのがオーダーの良さですが、それぞれのスタイルに合うのはどんな体形でしょうか。

猿渡「英国のような胸回り、肩回りをきちんと作ったスタイルは、細身の方がきちんとサイズを合わせて着ると迫力が出ます。逆に肉づきのいい人は柔らかいものを着た方がいいと思います。ただし、着るシーンによっても選ぶスタイルは変わります。大きな会議でプレゼンするので説得力が増すようなイメージにしたい、といったようなことを話していただければ、とても作りやすいですね」