■初心者はミディアムグレーがいい

――続いて生地選びです。スーツを着慣れていない若い世代は見本帳をみても迷いそうです。

石津「たとえばトラッドのトルソーが着ているようなストライプは選ぶのがとても難しい。ストライプの幅一つでがらりと雰囲気が変わり、品が悪くなることもあるからね」

猿渡「どういう機会で着るのかが生地選びの手助けとなります。普段着るだけでなく、冠婚葬祭の時にも着たいというのなら、濃紺をおすすめしたりします。特に汎用性が高いのはネイビー、ダークグレー、チャコールグレーですね」

石津さんに生地見本を説明する猿渡伸平さん(左)。「汎用性の高い素材をおすすめしています」

石津「そうだね。若い人にはできるだけ、適応性の広い生地を選びなさいと言いたいですね。生地にこだわればこだわるほど適応性がなくなります」

――といいますと、おすすめは。

石津「最初のスーツはグレーで作りなさい。紳士服の世界では最初の一着は紺というのが定着していますが、僕にはベーシックが紺という発想はないな。どうしてグレーがいいのかというと、アクセサリーが何でも合わせられるからです。茶系でも黒でもいい。紺は靴やシャツ選びが難しくなりますし、紺ブレを着るとネクタイの選択肢がぐっと狭まるんですよ」

猿渡「同感です。グレーは汎用性がありますし、スーツを着る機会が減っているのであれば、なおさら持っておいた方がいい」

この日の石津さんは明るいグレーのフラノのスーツ。「ストライプは難問。このトルソーのストライプはバランスも品もいいね」

――きょうの石津さんのスーツはグレーのフラノでドーメルの生地。かなり明るめの色調です。

石津「グレーは時に雰囲気が沈みがちになるので、より明るめの色を選んでいます。ただ、初心者はミディアムグレーがいいですよ。トルソーが着ているグレーのチェックもシックですが、着る頻度が落ちますからね。やはり無地がいいでしょうね」

■一番いじりたいのはゴージラインと襟幅

――オーダースーツにはさまざまなデザインのオプションが用意されていますね。

猿渡「袖ボタンが開閉可能な使用である本切羽(本開き)ですとか、スラックスのサイドアジャスターなどです。裏地をポリエステルからキュプラに変えるという選択肢もあります」

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