「堅忍不抜」「自主自律」が教育方針の柱だ。自分らしさを貫くのを重んじる校風を象徴するのが、卒業式の生徒コスプレだろう。怪獣や動物など、奇抜なかぶりものが名物になっており、メディアでもしばしばその振り切れっぷりが紹介される。「同じくコスプレ卒業式で有名な京大に似たところがある。面白いからやってみようと、ルールにとらわれない発想を大事にする気風がある」(広田氏)

部・クラブ、入部率は100%超

勉強に打ち込むあまり、部・クラブ活動が盛り上がらない進学校もあるが、札南は違う。兼部・重複在籍が可能なので、入部率は全体の合計で100%を超えるという。広田氏は「二兎どころか、三兎でも追ってほしい」と欲ばりな高校生活の背中を押す。有力進学校の特徴というべきか、クイズ研究会は強豪で、「全国高等学校クイズ選手権」で優勝も果たした。札南卒業生からは日本一王者も出ている。

学園祭にあたる、7月の「南高祭」は最大のイベントだ。19年で69回を迎え、部やクラブの枠を超えて盛り上がる。今年はシリア難民問題を考えるブースが登場。自然発生的に有志の研究チームができ、南高祭での発表に至ったという。

図書館の名物企画に「ライブ・イン・ライブラリー」がある。生徒や関係者が放課後にそれぞれが興味・関心を寄せるテーマに沿って、自分の考えや主張を発表するという、自主的なトークライブだ。ロンドン市内の公園、ハイドパーク内にある「スピーカーズコーナー」に似たイベントで、発表が終わると、聞き手とのディスカッションが始まる。14年に始まり、既に60回を超えた。

「さばけていて、ノリがいい」。広田氏は生徒のキャラクターをこう説明する。地元で成績トップだった中学生が札南に入って、「こんなすごい仲間がいるのか」と驚き、他者を認める気持ちが強まる。この「驚きから相互理解、リスペクトへ」という体験が札南の「他者を認める」という気風につながり、「それぞれが自分流に、居心地のよい場所や、やりたいことを見付けていく」(広田氏)。

個人を尊重する気風を映してか、卒業生の顔ぶれは多士済々だ。任天堂の伝説的なリーダーで社長を務めた岩田聡氏をはじめ、米マサチューセッツ工科大学(MIT)教授の石井裕氏、東大教授を務めた西部邁氏、作家の円城塔氏、労働社会学者の常見陽平氏らがいる。地元企業にはニトリホールディングス社長の白井俊之氏、鶴雅リゾート社長の大西雅之氏らを送り出してきた。

20年に125年の節目を迎える札南。これからも、いい意味で「自分本位」の生徒たちが巣立っていきそうだ。

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