ゼミに呼ぶ人は、同窓会の幹事を務める期から選んでおり、自然と40代半ばの働き盛りになっている。功成り名を遂げた卒業生の「凱旋行事」ではなく、現役世代の先輩の言葉はリアルに響くに違いない。広田氏は「すでに20年も続く六華ゼミは、在校生の視野を広げ、将来に関心を持つきっかけになっている」と話す。直線的なキャリアを歩んだ人ばかりではなく、転職や留学など、数々の選択を重ねてきた先輩を呼んでいるのも生徒の発想を広げる効果を生んでいるようだ。

医学部進学に強み

北海道立札幌南高校の広田定憲校長

進学実績は北海道では群を抜く。19年春の合格実績も東大19人(うち現役14人、以下同じ)、京大11人(8人)、阪大20人(16人)と全国でもトップレベルだ。地元の北海道大学には88人が合格している。

医学部に強いのも札南の特徴だ。19年春には国公立の医学系学部に58人が合格。北大には21人、札幌医科大学にも22人が受かっている。『医学部に入る2020』(週刊朝日MOOK)がまとめた国公立大合格者数ランキングでは8位となり、私立の中高一貫校以外では唯一トップテンに食い込んだ。もちろん道内の高校では唯一の10位圏入りだ。

高い合格率を導く、独自のシステムを持つ。東大合格者の4人に3人が現役生という実績を支えるのは、校内テストと大学入試センター試験の結果をマッチングさせ、合否を予測する仕組みだ。模擬試験を手がける教育サービス会社が合否判定を出すのは当たり前だが、札南のシステムは自前だ。

1、2年生は年に3回、3年生は年2回の校内テストを受ける。結果は過去の生徒の分まで蓄積されて「校内ビッグデータ」に。広田氏は「在校生だけのデータだから『純度』が高い。一般のテスト業者のデータよりも精度は上」と胸をはる。データの質を保つには結構な手間がかかるが、生徒の進路選びの頼れる手がかりとなっている。

生徒の男女比は男子が6割弱。3年生は8クラス構成で、文系2~3クラス、理系5~6クラスになるが、成績別というわけではなく、選択科目の都合で分かれるだけなのだという。難関校対策のセミナーや医学部志望者向けの研究会も学校側の振り分けでなく、自主性に任されている。

近年は理系、医学部を志望する生徒が増える傾向にあり、1学年320人のうち医学部志望者は100人弱に上り、3分の2が理系をめざす。過去の実績から「北海道で医学部へ行きたければ、札南へ」という流れができつつあるのも俊英が集まる理由のようだ。

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部・クラブ、入部率は100%超
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