「休業手当」もらえる? 会社指示の有無が分かれ目

台風15号の影響で首都圏の公共交通機関は運休が相次いだ
台風15号の影響で首都圏の公共交通機関は運休が相次いだ

病気や私用以外のやむを得ない事情で会社を休むと手当がもらえるケースがあると聞きました。どのような場合が該当するのでしょうか。

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会社員が自己都合以外で仕事を休む場合、「休業手当」が会社から支払われるケースがあります。金額は平均賃金の60%です。例えば1日当たりの賃金が1万円なら、休業手当は1日6千円です。

手当の対象について、労働基準法は「使用者の責に帰すべき事由による休業」と定めています。つまり会社の責任で労働者に休みを取らせる場合が該当します。業績が傾いて急に工場や事業所を稼働停止し、社員を出勤させないケースが典型例です。

では台風などによって交通機関が止まった場合はどうでしょうか。今月9日に首都圏を直撃した台風15号では、公共交通機関の運休や遅延によって出勤できない社員があふれました。やむを得ない理由ではありますが、会社には責任がありません。休業手当の対象にならない可能性が高いでしょう。ただし、就業規則などで自然災害時の賃金や手当の扱いについて定めている場合は、それに従います。

自然災害に備えて会社が休業を決めたり、早退を促したりしたのなら、休業手当の対象となる可能性が高いです。

感染症は休業手当の対象外です。インフルエンザにかかり、医師の指示によって休んだ場合は通常の病気休暇の扱いとなります。新型インフルエンザなどは法律に基づいて一定の就業制限が定められています。病休とはなりますが、企業によっては独自に設ける特別休暇の対象にしています。長期で休む必要がある場合は健康保険の傷病手当金の対象となります。

次は、日当や交通費などが支給される「裁判員」に選任されたケースです。やはり会社に責任はないので休業手当の対象になりませんが、選任された社員の不利益になることは禁じられています。裁判員裁判は近年、長期化し、仕事を休む回数も増えがちです。通常の有給休暇で対応しきれない事態に陥らないよう、特別休暇を設定している企業が多いようです。

東京五輪などへボランティア参加はどうでしょう。企業として登録した活動に社員が参加するなら、休業手当の対象となる可能性があります。ただ会社の指示に従った活動で「業務性が高い」と判断される場合は、そもそもボランティア参加自体が休暇でなく業務に当たる可能性があります。個人での参加であれば手当の対象外ですが、ボランティア休暇という特別休暇を設定する企業もあります。

社会保険労務士の望月厚子さんは「会社指示による早退や企業参加の五輪ボランティアなどで上司に『有休を使って』と言われる可能性もあるが、これは違反なので注意してほしい」と呼びかけます。

[日本経済新聞朝刊2019年9月21日付]