逆風が吹いていた「毎月分配型」の投資信託の人気がここにきて回復してきた。元本を取り崩して分配するファンドを金融庁が問題視し、販売会社も積極的には扱っていなかったが、5月に2年ぶりに資金流入に転じた。運用しながら定期的に取り崩す金融商品は、リタイア世代の投資家に向くとの指摘もある。複雑な分配金の仕組みを理解してファンドの実力を見極められる投資家には選択肢の一つといえそうだ。
投資でお金を大きく増やすには、利益がさらに利益を生む「複利効果」を働かせることが重要とされる。しかし、運用の利益を上回る分配金を出すことが多い毎月分配型は、分配で元本を取り崩すので複利効果が働かない。
このため、投資による長期の資産形成を根付かせたい金融庁は2017年、売れ筋の商品だった毎月分配型について「顧客本位でない」と指摘した。銀行や証券会社も販売姿勢を見直し、投資家に対して積極的に勧めなくなった。
4カ月連続で流入超
それでも、毎月分配型には一定のニーズがあるようだ。国内で公募される追加型投信(ETFを除く)のうち毎月分配型は、5月から4カ月連続で資金流入が流出を上回って純資産を増やした。8月末の純資産残高の上位10本のうち8本が毎月分配型だ。