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チームワークの経験を上手にアピールしよう。画像はイメージ=PIXTA

チームワークの経験を上手にアピールしよう。画像はイメージ=PIXTA

世界レベルの有力企業間で高度人材の確保が経営の最重要課題となってきた。いわゆる人手不足とは性質が異なり、稼ぐタレント(才能)を持つ人材が主なターゲットだ。『人材争奪』(日本経済新聞出版社)を書いた平本宏幸氏は「もはや奪い合いと呼べる状況に至りつつある」とみる。獲得競争の今後と、自分をうまく売り出すノウハウを聞いた。

「タレント」を高額収入で迎える時代

日本は人材の流動性が、欧米に比べて低いといわれてきた。しかし、潮目は変わりつつあるようだ。「日本でもこれから人材獲得の競争が激しさを増す」と平本氏は予測。とりわけ、創造性の高い業務を得意とし、勤め先に高収益をもたらし得るタレントが「引く手あまた」の時代に突入するという。

既に人工知能(AI)を開発する技術者やビッグデータを読み解くデータサイエンティストなどの理系人材に関しては、需給ギャップが生じてきた。報酬も高騰する傾向が続いている。一般的な初任給水準からかけ離れた高額の報酬を用意する企業も相次ぐ。「従来の採用とは異なり、特定のタレントを高額報酬で迎えることは当たり前になってきた」(平本氏)。こうした特別扱いに及び腰だった日本企業も、方針を見直すようになってきたという。

これからの人材争奪戦はターゲットが理系にとどまらない。「特殊なスキルだけではなく、企業にメリットをもたらす様々な能力を奪い合う時代に入ってきた」(平本氏)。たとえば、AIを活用して人事や組織を管理する「データ組織分析」もその一例だ。AIそのものの開発ではなくAIを実務に生かす職種で「AIをお金に換えるプロ」ともいえる。こうした人材にも好待遇が用意されるようになってきたという。

では、どんな仕事やタレントが高い評価を受けるのか。平本氏は「クリエーティブと希少性の掛け算」とみる。その人にしかできないような創造的なアプローチ、まだ世の中に多くないレア感の両方を兼ね備えた人材が争奪の的になるというわけだ。職種や業界は「デジタル分野に限らない」という。つまり、銀行や商社、メーカーなどに勤めていても、好待遇で迎えてもらえる可能性はあるわけだ。

役員級のポスト「CXO」に脚光

先進的な企業が競い合うかのように新設している役員級ポストに「CXO(Chief Experience Officer)」がある。「最高体験責任者」と訳される通り、顧客体験をプロデュースする責任者だ。データに基づいて、顧客戦略を練り上げる能力を求められる。CXOの仕事には、データを読み解く能力、顧客と向き合うスキルなどが複合的に期待される。こうした新たな業務やミッションには「適材が足りない状況がある」(平本氏)という。

従来から存在していた職種やポストにはそれなりに人があてがわれていて、不足感は低い。しかし「時代の要請を受けて新たに出現した仕事には前任者がおらず、専門職を雇う必要が生じやすい」(平本氏)。デジタル技術を駆使した新スタイルの営業・売り込み・会計処理が普及するにつれて、新たなビジネス市場が生まれてきた。米セールスフォースの急成長はその象徴だろう。結果としてデジタルと営業や製造などの現場とを束ねるスキルが求められるようになった、逆に、旧来の「足で稼ぐ」系の営業は相対的に価値が下がる流れにある。つまり、仕事の能力に対する評価にも時代ごとの「相場」があるわけだ。

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