中東情勢緊迫、世界株上昇シナリオ変わらず(藤田勉)一橋大学大学院特任教授

2019年9月14日、攻撃を受けて煙を上げるサウジアラビア東部アブカイクの石油施設=ロイター
2019年9月14日、攻撃を受けて煙を上げるサウジアラビア東部アブカイクの石油施設=ロイター

9月14日、サウジアラビアの石油施設が攻撃を受け、生産設備の能力が半減したという。この攻撃により原油価格が高騰し、世界を震撼(しんかん)させた。イエメンの武装組織フーシは犯行声明を出しているが、米国とサウジアラビアはイランが関与したと主張している。今後も中東情勢は予断を許さないため、イランを巡る中東の対立構造を歴史を踏まえて分析しておくことは重要である。

対立激化するサウジとイラン

イランは紀元前550年のアケメネス朝を起源とし、中東に巨大なペルシャ帝国を築いた。イラン人はインド・ヨーロッパ語族に属し、他のアラブ諸国とは民族、言語、宗教、文化、歴史などが大きく異なる。中東で最も早く国家を形成してきたため、イラン人(ペルシャ人)という民族意識が強い。

イランの人口は8291万人(2019年国連推計)と中東では圧倒的に大きい。原油の確認埋蔵量は18年時点で世界4位、天然ガスは2位と世界有数の資源大国である。イランはかつて米国と同盟関係にあったが、1979年のイラン革命と米国大使館人質事件をきっかけに決定的な対立関係にある。2018年には米国がイラン核合意からの離脱を表明し、原油の禁輸措置など制裁措置を強化した。イランはそれに対抗して核開発を続行している。

サウジアラビアはイスラム教の聖地であるメッカ、メディナを有するスンニ派の盟主である。建国は1932年と比較的新しく、油田開発も38年と歴史が浅い。人口3427万人の多数はセム語族(アラブ人)であるが、外国人依存度が高い。つまり伝統あるイランに対して、サウジは新興国である。

両国の関係は近年、極端に悪化している。サウジは2016年にシーア派の聖職者ニムル師など47名を処刑した。これをきっかけにテヘランのサウジ大使館で抗議活動が起こり、サウジはイランと国交を断絶した。サウジは隣国イエメンの政府(スンニ派)、イランはフーシ(シーア派)を支援し、さらに対立が激化している。

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