学生が様々な分野のトップランナーにインタビューする企画。今回は「プロ経営者」として知られる新日本プロレスのハロルド・ジョージ・メイ社長(55)に、元Jリーガーでスポーツ選手の気持ちをよく知る岩元颯オリビエさん(法政大学2年)と、海外の教育制度に関心のある古賀要花さん(津田塾大学3年)が話を聞いた。メイ氏が語った「人と違ってもいい」の真意とは。(文・構成はU22藤原仁美)
メイ氏はオランダ出身だが一貫して日本でキャリアを築き、新日本プロレスの前はサンスター、タカラトミーなどで手腕を発揮してきた。インタビューはメイ氏から2人への問いかけで始まった。
(メイ)「お二人はもう将来は決めてるんですか?」
――(岩元)僕は高校卒業から3年ほどプロのサッカー選手をしてから大学に入りました。人や地球などに貢献できるテクノロジー企業で働きたいと考えています。数学が得意だったので、ファイナンスの勉強に力を入れています。
――(古賀)私は小学校から高校まで通っていた学校が特殊で、生徒が主体になって学ぶアクティブラーニングが中心だったんです。教育の力で子どもが変わることを自ら体験してきました。将来的には人の可能性を広げるようなことをしたいのですが、まだぼやっとしているんです。
「3年生? 焦ることはないけれど、そろそろ決めないとね」
人生のゴールの設定「できるだけ早めがいい」
――(古賀)早く決めた方がいいんでしょうか。
「僕が、将来はビジネスマンになって、いずれは社長になると決めたのは中学時代です。日本で5年過ごした後、13歳から高校卒業まではインドネシアに住んでいて、現地法人の社長を務めていた父を見ていて、尊敬の念を抱いていたからだと思います。日本語と英語ができるから、オランダに帰るより、大好きな日本で働いた方が強みを発揮できると考え、米国の大学を卒業した後、ハイネケン・ジャパンを皮切りに日本リーバ(現ユニリーバ・ジャパン)、日本コカ・コーラ、タカラトミーなどで働いてきました」
「僕自身の経験から言えることは2つあります。1つ目は、人生のゴールはできるだけ早く設定したほうがいいということ。ゴールが決まっていれば、自然と何をしたらいいかがわかってくるでしょう? 例えば医者になりたいなら、山のごみ拾いのボランティアより、傷を負った子どもの話し相手になるボランティアのほうが将来に関係がありそうですよね」
「2つ目は、自分のユニークセールスポイントをもってほしいということ。何でもいいんです。これだけは自分は人に負けないというものをぜひ見つけてほしい。僕は日本語が自分の強みになるとわかっていたので、当時人気があったテレビドラマ『太陽にほえろ!』を録画したビデオを日本からインドネシアまで送ってもらって何度も見ました。わからない単語は辞書で調べて一つ一つ覚えて。それが今につながっているんです」