年金不安に自助で「対抗」 ヤングの君には時間がある

ところが21世紀に入り、日本経済は長期停滞が続き成長がとまりました。そして数年前から人口減少が始まり急速に少子高齢社会に突入したのです。すなわち現役世代が減ると同時に高齢者が増える社会構造へと大きく転換してしまったのです。そうなると、マクロで現役世代が負担する年金原資の収入が減り、引退世代への年金支給額が年々増え続ける将来構図になってしまったことが、ヤングの皆さんにも容易に理解できるはずです。

無論こうした社会構造の変化は従前から予測できたことです。非効率なリゾート開発などで散財するより、年金財政に余裕があるうちに年金制度の構造改革にメスを入れるべきだったことは言うまでもありません。こうした政治行政の放漫と不作為に対する不満は枚挙にいとまないことですが、今や後の祭りです。

次世代のためにカット甘受を

ヤングの皆さんのみならず、今を生きる日本の生活者は、これから先の公的年金受給水準は年を追うごとに下がり続けることを所与と受け止めなければなりません。なぜなら公的年金制度はこの国の未来にまで永続的に、それなりに健全なカタチで存続させなければならない国の根幹的社会保障制度だからです。となれば次世代、その次の世代へとそれを引き継ぐため、今を生きている私たちが一定の犠牲を受け入れていくことは、世代をつなぐための社会的責務でありましょう。

ヤングの皆さんが将来受け取る公的年金は、次世代の人たちの負担によって賄われます。現状を前提とするなら、その頃はますます受け取り側の高齢世代が増え、もっと劇的に支え手側の現役世代が減っていることでしょう。

ますます重要な「自助」

実は年金財政の改善に最も有効なのが経済成長です。経済が拡大するに伴って国民の所得も増えるため、所得に比例して社会保障収入が増えるカタチで年金健全化が進むことが理想です。しかし冷徹に考えて、残念ながらこれから将来に向けた日本経済の成長期待を見いだすことはなかなか難しいと考えます。ならば生活者ひとりひとりが自ら望む豊かな人生の実現に向けて、公的年金の「公助」に加え、足りない分は「自助」のじぶん年金をプラスして積み上げていく必要があるでしょう。

ヤングの皆さんは今から将来に向けて、たっぷりの時間を味方に付けながら自助でお金を育てていく。それをサポートしてくれる国の制度が「イデコ」(個人型確定拠出年金)であり「つみたてNISA」(少額投資非課税制度)なのです。

これら非課税制度をしっかり活用して、このコラムで再三伝えて来た「長期・積立・分散」投資行動3原則を実践して、自ら納得できる豊かな人生づくりへと行動していきましょう。ただ国や社会が悪いと文句を言うだけで行動せずでは、自ら豊かな人生をあきらめる残念な将来を受け入れるしかありません。どちらを選択するもヤングの皆さんひとりひとりが自分で決めること、それが自助自律社会なのです。

中野晴啓
セゾン投信株式会社代表取締役社長。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。
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