がん検診は何歳から受けるべき? 部位別にチェック胃・大腸はカメラでチェック

日経トレンディ

胃がんの最大のリスク因子はピロリ菌。「ピロリ菌がいると必ず発がんするわけではないが、胃がん罹患者の9割以上はピロリ菌の感染歴がある」(近藤氏)。そのため、20代のうちに一度ピロリ菌の有無を調べるのがいい。見つかれば早めに対処できる。また、50歳になると対策型の胃がん検診を受けられるが、その際は内視鏡検査(胃カメラ)を選びたい。バリウム検査に比べて病変の見逃しが少ないうえ、カメラを胃に通すときに、併せて食道がんのチェックもできるからだ。

肝臓がんの主な原因は、B型・C型肝炎ウイルス。肝細胞に炎症を起こし、肝炎から肝硬変、肝臓がんにつながる。肝炎ウイルス検査もやはり20代で一度受けるといいだろう。アルコールも肝臓がんの一因。飲酒量が多い人は、40代で腹部の超音波(エコー)検査を受けておくのが賢明だ。エコーは放射線被曝が無いので気軽に受けやすい。

子宮頸がんは、性交渉などによるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が強く影響する。20代の女性でもかかりやすい。20歳以上であれば、対策型がん検診の細胞診(子宮頸部から細胞を摂取)が受けられる。

肺がん検査はCTも検討

肺がんは、喫煙者なら特に要注意。肺がんのリスクは、「1日に吸うたばこの本数×年数」で表すブリンクマン指数が一つの目安になる。1日20本を20年間吸っていれば、20×20=400。一般的にこの指数が400を超えると注意が必要とされている。

長年のヘビースモーカーなら、30代で任意にチェックするのも一つの選択肢。検査は胸部レントゲンが一般的だが、胸部CT検査の方が早期の小さながんを見つけやすい。ただ、悪性度が低いものを見つけて余計な精密検査を受けるなどの「過剰診断」になりかねない点には注意。被曝量も大きめなので、そのあたりを十分に考慮したうえでCT検査を検討したい。

40歳以上であれば、対策型がん検診に胸部レントゲンがある。非喫煙者も受けておくといいだろう。受動喫煙や家族の病歴などで心配があるなら、やはり胸部CTも候補だ。

大腸がんについては、進行が遅いため検査を急ぐ必要はそれほど無いが、40歳以上が対象の対策型がん検診は受けるべきだ。ただ、対策型の内容は問診や便潜血検査で、内視鏡検査(大腸カメラ)は受けられない。「便潜血検査と比べて、大腸カメラは診断能力が高く、小さなポリープも発見でき、即切除できる」(近藤氏)。40代で一度は大腸カメラを任意で受けておくのが無難。そこで問題が無ければ、次に受けるのは5~10年後が目安となる。

女性の乳がんの発症は40代後半にピークを迎え、60代後半から減少。40歳以上は対策型がん検診を受けられる。マンモグラフィー(乳房エックス線検査)を受けることで、乳がんの死亡率が低下するとの検証結果がある。喫煙者の場合は、30代と早めに任意で受けるのも一つだ。

また喫煙者は男女共に、口腔がんや咽頭がんといった頭頸部がんの検査(CTなど)を40代で受けることも要検討。喫煙は頭頸部がんの発症と深い関係があると考えられているからだ。

では、がん検診はいつまで受ければいいのか。一般的に、がんの進行は高齢になるほど遅い。高齢者が仮に検査でがんを発見して治療を受けても、そうしなかった場合と比べて余命に大きな差は生じにくい。むしろ、治療を受けたことで薬の副作用に苦しんだり、手術の影響で体の自由が利きにくくなったりなど、QOL(生活の質)が低下することも考えられる。

60代以降は喫煙や飲酒などのリスク因子を考慮しつつ、気になる人は適宜受けるのがいいだろう。

[日経トレンディ2019年7月号記事を再構成]

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