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出産もキャリアも諦めたくない 卵子凍結という選択肢

2019/9/24

卵子は凍結のための作業を経て、液体窒素で満たされた専用の容器の中で保存される

キャリアを理由に当面は出産を希望しない女性たちの間で、若いうちに卵子を凍結して保存する動きが広がり始めた。出産の先送りを促すなどの懸念もあるが、キャリア形成と出産を両立する選択肢として注目を集めている。

田中美春さん(仮名、40)は2019年夏、卵子凍結を2回試みた。4月に昇進したばかり。「出産にタイムリミットがあるからと慌てて結婚したくはなかった」と話す。妊娠の確率を高めるため年齢と同数の卵子の保存を目指し、あと数回採取する予定だ。

平均寿命が延びても女性の生殖適齢期は20~40歳と限られる。仕事や学問の修練期と重なるため、まず仕事で実績を上げてから出産しようと考える女性も多い。ただ、年齢が上がると妊娠率は下がる。不妊治療を受けても妊娠に至らず、諦める人もいる。

女性の卵子のもとは胎児時代につくられて一旦貯蔵される。生殖年齢に達すると成熟が進み、毎月ほぼ1つずつ排卵されて妊娠に備える。加齢に伴い卵子は老化が進むため、成熟の過程で染色体の異常が起きやすくなると知られている。異常が起きると、流産や生まれた子が先天性の病気を持つ確率が高まる。

卵子凍結を受けるときはあらかじめ排卵誘発剤を打っておく。当日は麻酔をかけて注射器のような機器で複数個の卵子を取り出す。採取は5~10分だが3、4回以上の通院が必要になる。費用は全額自己負担で約50万~80万円だ。

35歳で卵子凍結した三宅さん(仮名)。仕事や恋愛に打ち込んだ後、40歳でその卵子から長男を出産した

三宅悠子さん(仮名、41歳)は4月、35歳で凍結した卵子で長男を出産した。「妊娠までに時間の猶予ができたことで、仕事や恋愛に前向きに打ち込めた」と満足げだ。

不妊治療を手がける医療法人オーク会(大阪市)では、19年5月末時点で延べ735人の女性がキャリア継続やパートナー不在などの「社会的な理由」で卵子を凍結した。うち32人が凍結した卵子を使って妊娠した。

当初は40歳前後の利用者が多かったが、17~18年は30代が50%を超えるなど若年化が進んでいる。船曳美也子医師は「出産例も出始めて認知度が高まったのではないか」と推察する。

東京都在住の西史織さん(28)は6月に卵子凍結した。周囲に不妊治療中の30代女性が多く、「将来の自身の妊娠可能性に不安を抱いた」と話す。子供が欲しい女性向けのサイトを運営し、卵子凍結の情報を発信している。

企業による支援策も広がる。米国では14年以降、フェイスブックとアップルが補助金制度を導入したことを皮切りに、現在数十社が採用済みだ。国内ではPR会社のサニーサイドアップが15年、補助金制度を始めた。社員の卵子凍結にかかる費用の3割を同社が負担する。既に2人が利用した。

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