侮ると怖い職場の「居眠り」 症状チェックは自分でも産業医・精神科専門医 植田尚樹氏

SASになると十分に眠れないため、さまざまな症状が現れるようになります。あなたは次のような症状に心当たりありませんか。

《 眠っているとき… 》
● いびきをかく
● 息が止まる
● 呼吸が乱れる
● 息が苦しくて目が覚める
● 何度も目を覚まし、トイレに行く

《 日中、起きているとき…
● しばしば居眠りをする
● 記憶力や集中力が低下する
● 体を動かすときに息切れする

上記の項目は、いずれもSASによく見られる症状です。ひとつでも心当たりがある場合は「エプワース眠気尺度(ESS)」を使って自分自身で確認しましょう。

合計が10点以下であれば「正常」(ただし3項目以上で2点以上のチェックがあれば要注意)、11~12点は「軽度の睡眠障害の可能性」、13~15点は「中等度」、16点以上は「重度」と判定されます。

軽度のSASは、減量や生活習慣の見直しやマウスピースの使用により症状が改善することもあります。しかし、ある程度症状が進んでしまった患者さんは、ひどい眠気とともに気力低下をきたし、減量や生活習慣改善にも前向きに取り組むことができません。こうした患者さんには、前述のCPAPが適しています。

CPAPはSASの最も重要な治療法です。ただし、あくまでも対症療法で、完治するための治療法ではありません。この点は注意が必要です。

また、扁桃肥大が原因であれば、切除などの手術が有効です。

SASで怖いのは合併症です。睡眠中の呼吸停止と再開が繰り返されるため、血圧が上昇し、血液も固まりやすくなることから、高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などの重大な合併症を引き起こすリスクが高まるためです。決して「たかが居眠り」と侮ってはいけません。SASと診断されたら、そのまま放置せず、しっかり治療することが必要です。

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植田尚樹
1989年日本大学医学部卒、同精神科入局。96年同大大学院にて博士号取得(精神医学)。2001年茗荷谷駅前医院開業。06年駿河台日大病院・日大医学部精神科兼任講師。11年お茶の水女子大学非常勤講師。12年植田産業医労働衛生コンサルタント事務所開設。15年みんなの健康管理室合同会社代表社員。精神保健指定医。精神科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。

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