侮ると怖い職場の「居眠り」 症状チェックは自分でも
産業医・精神科専門医 植田尚樹氏
写真はイメージ=PIXTA
社員がいきいきと働き、高いパフォーマンスを発揮する職場をつくるには何が必要か。産業医として多くの企業で社員の健康管理をアドバイスしてきた茗荷谷駅前医院院長で、みんなの健康管理室代表の植田尚樹医師に、具体的な事例に沿って「処方箋」を紹介してもらいます。
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「居眠り」というとついつい軽く考えがちですが、産業医の面談には居眠りで仕事に支障を来した人も訪れます。会議で居眠りしたり、業務中にウトウトしたり。いくら注意しても一向に改まらないことから、ようやく上司が問題に気づくというケースが多いようです。
人材派遣会社に勤務する30歳男性の事例です。入社して1年になりますが、会議や商談の最中に、たびたび居眠りをしてしまい、周囲はもちろん取引先からも繰り返し注意を受けていました。「何か体に異常があるのではないか」と上司が産業医との面談を勧めたのでした。
男性の話を聞いてみたところ、数年前から午後になると激しい眠気に襲われるということでした。前職でもたびたび居眠りを注意され、会社にいづらくなったそうです。家族からも「就寝中、いびきがうるさい」としばしば注意されていました。
居眠りの原因のひとつが「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome、SAS)」です。「無呼吸」とは睡眠中に呼吸が10秒以上止まる状態を指します。就寝中に呼吸が停止し、睡眠を妨げることで、睡眠不足をもたらし、結果として居眠りを招くのです。