日経エンタテインメント!

11年のデビュー後、12年以降はコンスタントに7作品以上に出演している。それは出会ってきた人のおかげだと話す。

「いつも周りに助けられていることが多いんです。『スターマン』で共演したご縁で、(有村)架純ちゃんや事務所さんが『山田君がいいんじゃない』と言ってくれて、『ストロボ・エッジ』の廣木隆一監督との出会いにつながりました。『万引き家族』は、『僕の周りの人たちはみんな君のことをいいって言うんだよ』と、是枝裕和監督がオーディションに呼んでくださいました」

人柄も含めて、愛され力が強い。作品数の多さには、彼自身の仕事へのスタンスも関係している。

「世間的には規模が小さな作品でも、熱量を持って『ぜひ一緒にやりたい』と言ってくれた人の期待に応えたい。そのほうがいいセッションができるから。マネジャーさんには、どれだけ忙しかろうがそういうオファーは『断らないでください』とお願いしてました。それに、僕はすごく脇役が好きなんですよね。脇役にもドラマはあるわけで、でもそれがほとんど描かれない分、興味がいくんです。

勝ち負けではないですけど、作風を選ばず数多くやってきたので、ある程度負けない自信はあります。見てもらえたら早いっていう感覚です。でも僕には爆発力がない。それは悩みです。以前ご一緒した女優さんは、自分が1つステップアップしたいと考えたときに、作品を厳選したって言っていたんです。僕は一切断らずにやってきたから、はっとさせられて。どうしたらいいか分からなくなって、マネジャーさんに相談したら、『断ったらいい役が来る? まだ来ないでしょ』って。1回殴られたところを、反対方向にもう1回殴り返された気分でした(笑)」

世田谷パブリックシアター+エッチビイ『終わりのない』 古代ギリシャの叙事詩『オデュッセイア』を原典とした、日常と宇宙をつなげる旅を描くSF作品。劇団イキウメの前川知大脚本・演出。10月29日から世田谷パブリックシアターで上演。兵庫、新潟、宮崎にてツアー公演も

自虐的に話すが、人気に火がついた今が飛躍のとき。秋には約3年ぶりに『終わりのない』で舞台に立つ。劇団「イキウメ」を拠点に、SFやホラー作品を発表している前川知大の脚本・演出だ。

「前川さんの舞台は、3年くらい前から見に行っていたんです。前川さんも、僕が演じた『宮本武蔵(完全版)』(16年)という舞台を見てくださって。映画化もされた『散歩する侵略者』を2年前に見たときは、めちゃくちゃ感動して号泣しながら楽屋挨拶に行きました。僕はもともと、SFとか異星人とかが好きで、そういう話を前川さんとは思う存分できるのもうれしい(笑)。先日、共演の仲村トオルさんとお会いしたばかりで、まだまだこれからですが楽しみです。

この先も、いろいろな役を全力でやっていきたいです。怪人二十面相みたいになれたらいいなと。この仕事はゴールがない。僕の夢は、死ぬまで俳優でいることです」

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2019年9月号の記事を再構成]

エンタメ!連載記事一覧