山田裕貴 断らないことで得た、簡単には負けない自信

日経エンタテインメント!

2011年に『海賊戦隊ゴーカイジャー』で俳優デビューした山田裕貴。主に助演の位置で力をつけ、暴力的な役から純真なキャラクターまで、振り幅大きく演じてきた。そんな俳優歴8年、29歳の山田が、次のフェーズへ歩を進めようとしている。

1990年9月18日生まれ、愛知県出身。11年『海賊戦隊ゴーカイジャー』で俳優デビュー。出演映画『HiGH&LOW THE WORST』は10月4日、『嘘八百 続編』は2020年新春公開(写真:橋本勝美)

17年には連ドラでのメインキャスト起用が増え、『おんな城主 直虎』でNHK大河ドラマも経験した。18年には、3期連続で連ドラにレギュラー出演。固定ファンのいるテレビ朝日のシリーズもの『特捜9』に、新メンバーの新藤亮役で加わったことも大きかった。そして19年4月からのNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)『なつぞら』では、なつ(広瀬すず)の親友の雪次郎を印象的に演じてきた。

「雪次郎のかわいらしい感じは狙ったところでした(笑)。天陽役の(吉沢)亮だったらこうやるかな、キヨちゃん(清原翔)や岡田(将生)さんはこう来るかなと想定して、1番モテなさそうな子にしようと考えました。お菓子屋の1人息子ということは、戦後間もないときでもお金に困っていないだろうし、父ちゃんも母ちゃんもばあちゃんもそばにいる。ガツガツしていなくて、ほんわかしてるんじゃないかなって。朝ドラは5~6年オーディションを受け続けていて、『もうないな』って諦めてたんですよ。僕、アウトローな役も多いからダメなのかなって(笑)。

『特捜9』は、最高の現場です。井ノ原快彦さんはじめ、メンバーのみなさんの人間性も大好きですし、お芝居の面でもたくさんの発見があります。14年の歴史があるなかで(※)、僕はまだ2年目だし、静かにしてたんですけど、井ノ原さんが「これは新藤が言ったほうがいいね」とセリフをくれたりするうちに、僕も表現者だし、意見があったら言うべきだとだんだん感じてきて。それで今年6月に放送されたseason2の最終回では、犯人を諭すシーンで『俺は正義を信じてる』というセリフを、アドリブで『本当の正義なんて分かんねえよ』に変えてみたんです。そしたら、プロデューサーさんたちがザワザワして。でも今の若者の気持ちに近いところを提案できなかったら、僕が入った意味がないと思ったんですよね」

※06年から17年まで続いた渡瀬恒彦主演の『警視庁捜査一課9係』の続編が『特捜9』で、井ノ原快彦、羽田美智子、津田寛治、吹越満、田口浩正ら主要メンバーは続投している。

周りが後押しする愛され力

現場であった出来事を、本当に楽しそうに話す。子どもの頃から、プロ野球選手の父(現在は広島東洋カープコーチの山田和利)をずっと意識してきた。野球は高校生のときにやめたが、呪縛を解くため、好きだった映画やドラマの世界にいこうと上京。アルバイトをしながら養成所に通った。

「最初の授業で、作品から抜粋して演技をする課題が出たんです。僕は『デスノート』のLをやったんですけど、褒められている人もいるなか、みんなの前で『それはモノマネです』って言われたんですよ。『何も教わってないのにマジでムカつく!』って(笑)。後々、演技は教わるものじゃないって気づきましたが、野球でも感じたことのない悔しさで、初めて父親を通さずに熱く心が動いた瞬間でした。そのとき、この仕事を絶対にやりたいと思いました」