2019/9/26

RPA、AI、副業解禁というキーワードが私たちの不安をあおる

今まで専門性が高く、機械に代替されることはないと思われていた銀行や弁護士、会計士といった業界から、AIやホワイトカラーの単純な間接業務を自動化する技術であるRPAによる機械化が進んでいます。「つぶしがきく業界だから大丈夫」ということは、もはやどの業界にも言えない状態です。今後は一人ひとりの創造性が肝となり、作業ではなくビジョンを描き、実行に移すといったような、経営者的な視点が会社員にも求められるようになるでしょう。となると、「私にはそんな能力はない」と自分の仕事を振り返り不安になってしまうのも無理はありません。

カナダのナショナル・ポストの発表によると、米国では2020年までにフリーランスの人口が労働者全体の50%にものぼると予想されているそうです。

日本は伝統的に新卒の社員を採用した上でジョブローテーションを繰り返し、何十年もかけてゼネラリストにしていく方法を今までは取っていたのに対し、米国ではもともと即戦力としてのスキルを求めるという違いがあるので、米国の状況がそのまま日本に当てはまることはないと考えています。しかし、日本でもギグエコノミーや、副業解禁の流れも見られます。米国で起きているビジネスの流れは数年後には日本にも起きると言われており、いずれ日本にも波が押し寄せる可能性は高いでしょう。

このような環境の変化で私たちが直面するのは「私は社内にどっぷり漬かって井の中の蛙(かわず)になってはいないだろうか?」「私にできることなんてないのではないか?」「自分には強みはあるのだろうか?」「今自分がしている仕事は、つぶしがきかないものではないか?」という不安です。

特にホワイトカラーの仕事に従事していると、労働の対価がいくらか、会社にどのくらいの価値を提供できているか、というコスト感覚を直接意識する機会が少ないため、自分の仕事の価値を客観的に知ることはなかなかできません。このことも不安感をあおります。自分自身の価値という「値付け」は、原価がもともと分かる商品の値付けとは違うからです。

今の仕事を頑張りながら将来に備えることはできる

不安になると隣の芝生が青く見えるもの。今の会社では将来は見えないから、つぶしがきかないからといって起業講座や副業講座に通って勉強したり、資格試験に励んだりする人も多く、実際数十万もする高額講座に通っている人の話も聞きます。しかし、「逃げ遅れないように」という気持ちで焦って起業や副業、勉強を始めたところで、果たして良い結果となるでしょうか。筆者はそうは思いません。

銀行など守秘義務が多い職種でも副業解禁の流れが始まったとはいえ、まだまだ少数派です。副業が解禁されている会社でも守秘義務や同業他社の兼務禁止など、配慮すべき点があります。副業で本業に支障をきたすまで働き、心身ともに疲弊し「ひとりブラック企業」化してしまうのも避けたいところですよね。「逃げ遅れないように」という不安感におびえて何をしたいかが見えない中で行動に移す前に「今の自分にできることは何か?」を、今の職場にいながら考えていきませんか?

AIやRPAに取り換えられないのは、革新的なアイデアや、周りがわくわくしてどんどん巻き込まれていくようなミッションといったような、人間にしか創造し得ない価値です。とするならば、仕事を遊びのように楽しむこと、つまり「公私混同」でわくわくするようなことを、今この環境から探してみるというのもひとつの手ではないでしょうか。

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自分の仕事を「価値」で捉え直してみよう