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「ひどい味の酒」から7年 南ア初黒人女性醸造家の道

「ひどい味」と思った最初のワインも、初めておいしいと思ったワインも赤ワインだったビエラさん。大学生のときは故郷に、ワインテイスティングの施設を開こうと考えたこともあったという(写真は、現在手がけるワインを試飲しているところ)

近年、注目を集める南アフリカのワインには、実は350年以上の歴史がある。しかし、長年続いたアパルトヘイト(人種隔離政策)のため各国の輸入規制があったことなどからワイン産業が停滞。94年に同政策が終わりを告げ、ワインの輸出が再開されてから世界で日の目を浴びるようになった。

同国のワインの魅力は、フランスをはじめとするヨーロッパの「旧世界ワイン」と南米やオセアニアのような「新世界ワイン」の特徴を併せ持っているところだとビエラさんは言う。つまり、重厚な旧世界ワインの味わいと果実味豊かな新世界ワインの両方の性格が感じられるというわけだ。

彼女が最初にワインをおいしいと思ったのは、学生時代に働いていたワイナリー、デルハイムにてだ。ワインのテイスティングをする中、「驚いたことに、シラーズ種の赤ワインがおいしいと思ったんです」とビエラさん。「そのときは、最初に甘口のワインを飲んでから、辛口から甘口へと味わいの異なるワインを飲ませてくれました。飲み手をどう導くかで、おいしさが違ってくるんです」

大学を卒業後、04年にビエラさんは新興ワイナリーであるステレカヤで醸造家の職を得る。醸造責任者のサポートをする職務に就くはずだった。ところが、ワイナリーに行くと、高齢だった醸造責任者は「僕は引退するから」と去ってしまい、いきなり一人で醸造を担当しなければならなくなったという。

必要な知識を得るため、彼女は南アフリカの有名ワインガイド『プラターズ・ワインガイド』を開き、頼る先を必死に探したという。老舗ワイナリー、ネダバーグの醸造家にも頼ったことがあるそうだ。実はそれまで、同国には黒人女性の醸造家はいなかった。同窓生に醸造学を学ぶ黒人女性はいたが、みなワイナリーのアシスタント職に就いたり、別業界に就職したり……。業界に、黒人女性にとって大きな壁があると感じていたからだ。しかし、ビエラさんはこの経験を通し、「助けを求めれば、人々は手を差し伸べてくれる」と思ったそうだ。

後に自身で立ち上げたブランド「アスリナ」のワインの木樽が並ぶセラー。同ワインは当初米国とドイツのみで販売。「海外のインポーターは、箱単位ではなくパレット単位で買ってくれましたから」とビエラさんは経営センスも光る

それから、ビエラさんの驚きの快進撃が始まる。06年には、南アフリカの初の黒人女性醸造家として彼女が手掛けた初めてのワインがリリースされた。そしてなんと、その中の1つ、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー、そして同国の固有種ピノタージュをブレンドした赤ワインが、冒頭の品評会で金賞に輝いたのだ。「子どもの頃から才能の兆しがあったのでは」とビエラさんに聞くと、祖母の伝統的な自家製ビール造りを手伝う度に、周囲から「いい手を持っている」と褒められたそうだ。

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