■自分事になると楽しくなるのが投資
――確かに、朝の通勤電車にいるスーツのおじさまがたの中に、「ああ今日も会社行くの楽しみだなあ!」って思っていそうな人はあまりいない気がする。でも藤野さん、「投資する」こと自体は楽しいものなの?
「株を買うというのはその会社を応援するということです。企業は株を売って得た資金で、事業を始めたり拡大したりするわけだから。今日、さやかさんがここに来るまでに乗った車も、持っているスマートフォンも、身につけているネックレスとかイヤリングも、どこかの会社の人が生産設備などに投資して原材料を買って生産したものですよね」
――あ、そうか。株式市場に投資したお金で、その会社が何か自分や社会にとっていいことをしてくれるかもしれないと思うと、自分ごとにもなるしなんか楽しい感じがする。自分が投資した企業の製品が話題になったりなんかしたら、何となく鼻が高い気持ちがするかもしれない!
「会社の活動にお金を出す。そして、将来うまくいったときに配当とか利子という形でリターンをもらう。これが株式投資の基本です。だから、好きだなと思える会社を選んで、応援してみたらワクワクしませんか」
――それはちょっとワクワクするかもしれない。でも、できればドキドキはしたくない……。
「投資はまずは小さく始めることです。1万円とか2万円くらいで始めてみる。その人にとって、緊張して手のひらに汗をかくようなことのない金額で始めてみてください」
――なるほど、まずは自分と投資に「関わりしろ」を持たせて興味を持つ練習をするわけですね。
「株式のほかにも投資信託という商品が初心者にはおすすめです。投資信託は福袋みたいなもので、株式に投資するタイプの投資信託であれば、いろんな会社がお任せで入っています。買うときも少額でOKです。いろんな会社が入っているから、A社の株価が下がってもB社は上がったというようなこともおきて、リスクを分散できます」
■投資をギャンブルにしないためには
――投資にも福袋なんてあるんだ!なんかかわいい。
「金融市場ですから変動します。リスクもあります。ある程度、変動に慣れることも必要ではありますが、リスクを分散する意味でもオススメなのは積み立てです。少しずつ同じ金額で投信を買い増していくので、相場の動きを抑えながら投資できるわけです。いま政府も勧めているのが、個人型確定拠出年金(イデコ)と積み立て型の少額投資非課税制度『つみたてNISA』です。どちらももうかった分の税金がかかりませんし、イデコは掛け金分が所得控除の対象です」
――利益に税金がかからない投資まであるんですね。それなら事業をされている方とかきっとやっている方多いんだろうな。でも、投資はギャンブルだと思ってる人もまだまだ多いと思うんです。だから手を出しづらいというか。
「投資した会社がなんらかの形で自分の人生につながっていることが感じられれば、ギャンブルとは思わないはずです。自分の投資には社会的に価値があると思うことが大事だと伝えたいです」
――投資が社会貢献というイメージは私もこれまで持ったことなかったです。でもそう考えると「寄付する」ということと「投資する」ことは、なんとなく似ていますよね。