ワンハンド・頭活… 19年下期注目の食品キーワード
食品ブレイク予測 2019下半期 キーワード編
「簡便・時短」が食品のキーワードになって久しい。2019年下半期はこの流れが加速し、ついに「調理ゼロ食品」が脚光を浴びる時代に突入した。代表格が「炒飯・丼… 冷食は『がっつり飯』激戦 19年下半期」で紹介した冷凍食品。冷食は、ここ数年で驚くほど味のクオリティーが向上。加えて、容器付きで皿の用意や食後の皿洗いが不要という利便性を併せ持つ商品が続々登場したことで、今後もユーザーが増えることは必至だ。同様に、「ご飯が進む『悪魔とシビレ』食品に注目 19下半期」で紹介した「掛けるだけ」のふりかけやシビレ系も、調理ゼロ食品の亜種と呼べる。
キーワード1「ワンハンドミール」
さらに、食べるスタイルの効率化に配慮する食品も登場する。皿はおろか、スプーンや箸も必要無く、手に取ってそのまま口にできる「ワンハンドミール」だ。スマホを見ながら片手で食べたい、という多忙な現代人らしいニーズといえる。
冷食の「まぁるい焼豚めし」(ニチレイ)は、おにぎり状の新感覚フード。豚肉入りの甘辛しょうゆダレの焼き飯料理を丸めたもので、これ1品で完結しているところが新しい。シリーズで焼きカレー、焼きビビンバと3種類があり、いずれも焦げ目のある香ばしさが売りだ。
「もっちりマルゲリータ」(マルハニチロ)は、発想の転換で冷食のピザを折り畳んだ、カルツォーネ風ワンハンドフード。「グリルフィッシュ」(はごろもフーズ)は、サラダチキン、サラダシーチキンの系譜を継ぐ高タンパク質フードだ。テイクアウトなどでは定番だったワンハンドで食べられるトレンドが、家庭にも押し寄せる。
キーワード2「頭活」乳酸菌系飲料
一方、胃腸や免疫に作用する機能が注目され、売り上げを伸ばしている乳酸菌領域では、新たに「『頭活』乳酸菌系飲料」がキーワードになる。認知機能の一つである注意力と計算作業効率の維持に役立つとされる、乳酸菌が生み出した成分ラクトナノデカペプチドが配合された「はたらくアタマに」シリーズのドリンク類(アサヒ飲料)がそれだ。ラクトナノデカペプチドはアサヒグループのカルピス研究から発見された成分。中高年を対象としたヒト試験で、8週間の継続飲用によって注意力、12週間の継続飲用で計算能力が改善されることが実証されたとうたう。
認知機能維持の効果がいわれるイチョウ葉エキスやDHAなどは、サプリメントが中心。はたらくアタマにシリーズは、普段飲むボトル缶コーヒーやペットボトル飲料に成分が入り、仕事中などに無意識に取れるのが利点だ。
キーワード3「掛ける大豆」
18年にテレビの情報番組から火が付いた「おからパウダー」は、ダイエットに効果があるといわれ、ヨーグルトに振り掛けて食べるブームが急拡大した。ただ、混ぜたヨーグルトは単調な味になってしまいがち。そこで、大豆をパフ状にして、かつ味を付けて食べやすくすることで課題を克服したのが、「ヨーグルトにかける大豆 きなこ風味パフ」「同 いちご風味パフ」(マルコメ)だ。手間無く大豆タンパク質が取れる「掛ける大豆」として人気を集めそうだ。
キーワード4「超早炊き」
パエリアやジャンバラヤといった家庭では難しい料理が簡単にできる「お米付きRiceDish」(日清フーズ)も注目株だ。アルデンテに調理できる「超早炊き」の米を同梱し、外食の本格的な味を、自宅で短時間に調理できるのがポイント。実際に作ってみると火の強さによるムラのせいか、芯が残り過ぎている部分があった。最初のうちは火加減に慣れが必要そうだ。
キーワード5「大人味アイス」
デザートでは黒蜜きなこや濃厚チョコ風味など、「大人味」のものが「バイヤーズグランプリ」ではランキング上位に。なかでも、「雪見だいふく」と「アイスの実」という定番の2ブランドが、共にチョコ味を追加してきたのが興味深い。今冬は、暖かい部屋で濃厚アイスを楽しむ場面が増えそうだ。
大手食品卸の日本アクセスが19年7月に開催した、東西会場で延べ1150社出展の大型展示商談会「フードコンベンション」の特別企画。Mart読者会員が選ぶ「Mart新商品グランプリ」の「プロ版」で、エントリーした77の新商品に、スーパーやコンビニなど流通各社の食品バイヤーが投票。加工食品、冷蔵食品、冷凍食品、アイスの4部門で得票数が多い順にランキングした。日本アクセス、流通専門誌「DIAMOND Chain Store」とのコラボ企画。
(文 高橋学、写真 中本浩平)
[日経トレンディ2019年10月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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