ジョン スメドレー 新作ニットはふくよか体形の味方
数ある衣装や小物の中から、その場にふさわしいアイテムを選び抜き、コーディネートを考えるのがスタイリストの仕事だ。そんな「目利き」が旬のファッションアイテムに焦点をあて、魅力を紹介する「旬アイテム」。スタイリスト、小林新氏が9月、取り上げるのはジョン スメドレーのニットウエア「Sweater(スウェーター)シリーズ」だ。
■老舗中の老舗、サイズスペックを根本から見直し
ジョン スメドレーといえば、英国のニットウエアブランドの老舗である。僕はこのブランドをかれこれ10年以上愛用している。創業が1784年というからもう230年以上の歴史を持つ。老舗中の老舗といっていいだろう。
長らく愛用しているワケは、品質の良さもさることながら、扱いやすい点も大きい。春夏コレクションで用いられる「シーアイランドコットン」は、シルクのような光沢とカシミヤのような肌触りを持つ高級天然素材としてよく知られる。そんな素材を使っていてもTシャツ同様に自宅でバシャバシャ洗濯できるので助かる。
一方、秋冬コレクションに使用される「メリノウール」は、保温性や防臭力が高く、肌触りも滑らかだ。おまけにウール独特のチクチク感がない。
長い歴史を誇るブランドながら、毎シーズン新たな話題をふりまこうと努めている点も、多くのファッション関係者が注目するゆえんだろう。今回紹介するこの新シリーズもこの秋冬シーズン向けの新作として話題の商品の一つだ。
ジョン スメドレーといえば、ふくよかな体形の人にはやや着こなすのが難しいブランドとされてきた。ところが今回のシリーズは、サイズスペックを根本から見直し、ぜい肉がついた中年男性のワガママボディーをも優しく包み込んでくれるアイテムに仕上がっている。ジャストフィットからゆったりビッグサイズへとシフトする昨今のメンズファッション界のトレンドとも合致する。
■スゥエットシャツのように一枚着としてもOK
ジョン スメドレーの定番アイテムは主に30ゲージ(生地を編む編み機の針の密度の単位)だが、このシリーズは24ゲージと、やや厚みがある。スウェットシャツのように一枚着としてもOKだし、やや丸みのあるシルエットは体のラインを出したくないという方にもおすすめだ。
正直、僕も「ジョン スメドレーがオシャレなのはわかっているが、着こなす自信がなくなってきた」と思った時期がある。服に自分の体形を合わせることも大切だが、時には逆もあることを、今回の新シリーズは教えてくれた。ブランド側の思いはさておき、着る側としては、まさに「待ってました」の心境だろう。
新シリーズはクルーネック、タートルネック、ポロ、クルーネックカーディガン、Vネックカーディガン、モックネックの全6種、各6色展開。Gパンにも、ジャケパンにも、インナーにも、と用途は幅広い。せっかくの機会である。老舗ブランドの逸品をぜひ一度、手にとってほしい。
※商品の価格は税抜き
問い合わせはリーミルズ エージェンシー(03・5784・1238)
大学卒業後、2006年に独立。雑誌や音楽、広告分野などを中心に活動。服にとどまらず、その周辺にある美術などもスタイリングの一環と考え、独自の視点を持つスタイリストとして定評がある。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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