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勤勉日本、自己研さんは最低水準 世界と働く意識比較

人生100年時代のキャリアとワークスタイル

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日本は働くことや自己成長に関して、どのような意識を持っているのでしょうか。アジア太平洋地域(APAC)14の国・地域における「APAC就業実態・成長意識調査(2019年)」(パーソル総合研究所)において、大変気になる「日本の就業意識の特徴」が明らかになりました。この背景にあるものとは、いったい何でしょうか。人事労務コンサルタントで社会保険労務士の佐佐木由美子氏が解説します。

仕事選びで重視する日本の特異性

日本は出世意欲が14カ国・地域の中で最も低い――。管理職になりたい人の割合も21.4%で最も低く、これらの結果については、周囲を見渡してみても違和感のないものかもしれません。

一方、「勤勉」と言われる日本で、意外だったのは、最も自己研さんしていない国であるという結果です。東南アジアやインドは、自分の成長を目的とする社外学習・自己啓発が活発で自己研さんに意欲的なのに対し、日本は「特に何も行っていない」が46.3%(平均は13.3%)、ワースト2のニュージーランドと比べても24.2ポイントも差が開いているのです。

日本の起業・独立志向についても、日本は14カ国で最も低い15.5%。逆に5割を超える独立志向のある国は、インドネシア(56.4%)、インド(53.4%)、タイ(51.3%)の3国でした。

日本が特異な傾向を見せているのは、仕事選びで重要視することです。「希望する年収が得られること」が日本は1位で、これは他国も同様あるいは上位を占めていますが、2位が「職場の人間関係がよいこと」、3位が「休みが取れる/取りやすいこと」と、日本のベスト3でのみ独自の傾向が見られます。選択肢が26項目ある中で、「休みが取れる/取りやすいこと」は、どの国も上位10位以内にすら入っていません。

裏を返せば、それだけ休みが取れていない、ということでしょう。事実、日本の年次有給休暇の取得率は大変低く、総合旅行サイトのエクスペディアが実施した有給休暇国際比較調査(2018年)では、19カ国中3年連続ワースト1を記録しました。国が掲げる2020年までに70%の取得率という目標を大きく下回り51.1%で、平均取得日数は9.3日(「2018年就労条件総合調査」厚生労働省)という状況です。

ダイバーシティー受容度が低い日本

日本はダイバーシティーの受容度が総じて低く、「女性上司のもとで働くことに抵抗はない」で最下位、「外国人と一緒に働くことに抵抗はない」で最下位、「年下上司のもとで働くことに抵抗はない」でワースト2位という結果でした。

一方、「何歳まで働きたいと思っているか」については、1位は日本の63.2歳で、これに関しては長寿化の日本の状況を鑑みれば、極めて妥当といえるでしょう。2位は韓国の62.0歳、3位はオーストラリアの60.5歳となっています。

逆に、マレーシアやタイ、インドネシア、フィリピンは50代半ばと長く働きたくない傾向が見られ、日本とは10歳程度の差が開いています。いずれにしても、男女差はほとんど見られませんでした。

「会社全体」「職場の人間関係」「直属上司」「仕事内容」「プライベート」の項目について満足度を尋ねたところ、14カ国・地域平均では各項目とも70%以上で、「会社全体」は80.2%が満足しています。ところが、日本はすべての項目において最下位で、総じて勤務先の満足度が低いということが明らかになりました。

今の勤務先で働き続けたい人の割合についても、日本は52.4.%で最下位。転職意向は25.1%で同様に最下位であり、積極的に今の勤務先に働き続けたいとは思っていないものの、かといって転職も積極的に考えている状況ではないことがうかがえます。

日本型雇用システムからの脱却がカギを握る

この調査結果で日本が特異な数字が出た背景には、社会・経済情勢や日本型雇用システムの影響は大きいといえるでしょう。

たとえば、仕事選びで重視することについて、日本のみ「休みやすさ」が上位にありますが、インドやオーストラリア、タイ、韓国では第2位に、フィリピン、シンガポール、ニュージーランドは第3位に「雇用が安定していること」が上がっています。裏を返せば、日本は失業率が低く、他国と比べ雇用は安定していると言えます。

日本の年次有給休暇の取得率は確かに低いですが、週休日以外の休日が非常に多く16日あります。ドイツでは7日、イギリス・フランスでは8日と2倍ほど多く、年間休日でみると先進諸国とほとんど変わりはありません(「データブック国際労働比較2018」労働政策研究・研修機構)。日本は「休めていない」というよりは、自分が休みたいときに、休みにくい職場環境にあると言えます。

この点に関しては、働き方改革関連法の成立によって、2019年4月より労働者自身が休みたいときに時季を指定して5日以上取得できる義務が使用者側に課せられました。日本が取り組んでいる働き方改革が今後ポジティブな影響をもたらすことを期待します。

女性は年齢が高まるほどキャリアアップ志向に

また、今回の調査結果は、高度経済成長以降日本に根付いた雇用慣行が大きく影響していると言えます。それは、男性を中心とする終身雇用や年功序列賃金であり、新卒一括採用による遅い選抜(横並びの昇進で格差が出るときには挽回することが厳しい年齢)などです。こうした状況にあって、雇用の流動化が進まなかったことは、ある意味当然の流れと言えるでしょう。

勤務先以外での学びが他国と比べて低い傾向にあるのも、長期雇用を前提に自社の業務能力を高めるための人材育成や人事異動が行われてきた背景は無視できません。言い換えれば、キャリア形成の主導権は会社にあったわけです。さらには長時間労働や人間関係を築くための「おつきあい」など、学ぶための時間を取ることもままならず、その必要性さえも強く感じることはなかったとも言えるのではないでしょうか。

だからといって、私はこの国の未来を悲観していません。終身雇用や年功序列は崩れ、日本型雇用システムは大きな転換期を迎えています。生産年齢人口が減少する中で、優秀な人材はどの企業でも求められ、より良いキャリア・労働条件を求めて、転職市場は活発化していくでしょう。そうなると、私たちは必然的に自分自身のキャリア形成と向き合うことになります。さらには、人生100年時代で寿命が延びる中、定年をキャリアのゴールとすることはもはや難しくなっていきます。

そのことにいち早く気づいているのは、もしかしたら女性かもしれません。

「人生100年時代の働き方に関するアンケート調査」(2019年、第一生命経済研究所)によると、転職目的で学び直しをしているという人が、男性とは反対に、女性は年齢が高まるほど多くなる傾向が見られました。女性は年齢を重ねるほど、学び直しをすることで、自分の可能性を広げて働きたいと思う人が多くなるようです。また、キャリアアップ志向があり、前向きに仕事をしている人は、そうでない人に比べて学ぶ意欲が高い傾向も見てとれます。

日本型雇用システムの中では、出産や育児で長期雇用から離脱せざるを得ない女性たちが数多くいました。しかし、今国は「働き方改革」において、女性の就業率を高めようと躍起になっています。学ぶ意欲としなやかな柔軟性を武器に、女性たちが活躍できる時代が僅かながら近づいているのかもしれません。

佐佐木由美子
人事労務コンサルタント・社会保険労務士。中央大学大学院戦略経営研究科修了(MBA)。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所などに勤務。2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、働く女性のための情報共有サロン「サロン・ド・グレース」を主宰。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本」をはじめ、新聞・雑誌などで活躍。

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