勤勉日本、自己研さんは最低水準 世界と働く意識比較人生100年時代のキャリアとワークスタイル

2019/9/27

女性は年齢が高まるほどキャリアアップ志向に

また、今回の調査結果は、高度経済成長以降日本に根付いた雇用慣行が大きく影響していると言えます。それは、男性を中心とする終身雇用や年功序列賃金であり、新卒一括採用による遅い選抜(横並びの昇進で格差が出るときには挽回することが厳しい年齢)などです。こうした状況にあって、雇用の流動化が進まなかったことは、ある意味当然の流れと言えるでしょう。

勤務先以外での学びが他国と比べて低い傾向にあるのも、長期雇用を前提に自社の業務能力を高めるための人材育成や人事異動が行われてきた背景は無視できません。言い換えれば、キャリア形成の主導権は会社にあったわけです。さらには長時間労働や人間関係を築くための「おつきあい」など、学ぶための時間を取ることもままならず、その必要性さえも強く感じることはなかったとも言えるのではないでしょうか。

だからといって、私はこの国の未来を悲観していません。終身雇用や年功序列は崩れ、日本型雇用システムは大きな転換期を迎えています。生産年齢人口が減少する中で、優秀な人材はどの企業でも求められ、より良いキャリア・労働条件を求めて、転職市場は活発化していくでしょう。そうなると、私たちは必然的に自分自身のキャリア形成と向き合うことになります。さらには、人生100年時代で寿命が延びる中、定年をキャリアのゴールとすることはもはや難しくなっていきます。

そのことにいち早く気づいているのは、もしかしたら女性かもしれません。

「人生100年時代の働き方に関するアンケート調査」(2019年、第一生命経済研究所)によると、転職目的で学び直しをしているという人が、男性とは反対に、女性は年齢が高まるほど多くなる傾向が見られました。女性は年齢を重ねるほど、学び直しをすることで、自分の可能性を広げて働きたいと思う人が多くなるようです。また、キャリアアップ志向があり、前向きに仕事をしている人は、そうでない人に比べて学ぶ意欲が高い傾向も見てとれます。

日本型雇用システムの中では、出産や育児で長期雇用から離脱せざるを得ない女性たちが数多くいました。しかし、今国は「働き方改革」において、女性の就業率を高めようと躍起になっています。学ぶ意欲としなやかな柔軟性を武器に、女性たちが活躍できる時代が僅かながら近づいているのかもしれません。

佐佐木由美子
人事労務コンサルタント・社会保険労務士。中央大学大学院戦略経営研究科修了(MBA)。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所などに勤務。2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、働く女性のための情報共有サロン「サロン・ド・グレース」を主宰。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本」をはじめ、新聞・雑誌などで活躍。
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