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闇雲な転職志望者は面接で受け答えに苦労してしまいがちだ。写真はイメージ=PIXTA

闇雲な転職志望者は面接で受け答えに苦労してしまいがちだ。写真はイメージ=PIXTA

40代のみならず、50代以上の転職活動もこれまでにないほど活発化しています。当社にも50代のミドル・シニアや、経営の第一線をいったん退くことになった幹部層からの転職相談が急増しています。そのようななか、私が感じている大きな問題の一つが、ミドル・シニア世代の転職者に「猪突(ちょとつ)猛進」「手当たり次第に突撃」型の転職活動者を多く目にすることです。そもそも今後の生活や人生がかかった真剣勝負のシニアの転職活動が、なぜそのようなことになってしまうのでしょうか。

転職応募は下手な鉄砲を数撃っても当たらない

先日面談をしたAさん(56歳)は、長らく大手メーカーに勤務し部長職まで昇進しましたが、同社では役職定年制度があり、部長職については57歳が役職定年年齢となっています。迫り来る役職定年を目前に、「ここで管理職を解かれて、現在の部下たちの下について残りの会社員人生を送るのは寂しいし、自分の力を持て余す。それであれば、別の会社で現役の幹部としてやらせてもらえる場を求めよう」と決断。人生初の転職活動を始め、当社にも相談に来ました。

転職活動を開始して約3カ月のタイミングで当社に問い合わせを受け、面談を実施したのですが、「いや~、転職って思っていたよりも難しいんですね」。製造系会社の営業ラインマネジメントと本社の事業企画部長職の経験を持っているのですが、どのような転職活動をここまでしてきたのかを尋ねると、「とにかくアプローチしないとと思って」と、業種、業界のみならず職種、職責もかなりバラバラの求人に片っ端からエントリーしているという事実が判明。私は「まず、それをきょうから絶対にやめてください」というアドバイスをしました。

相手を見ない「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」型の求人応募はAさんに限りません。何となく興味がある、待遇・条件が良いといった理由から、押し掛け的な応募を次から次へ繰り返すミドルやシニアは、驚くほど多いです。しかしこの行為は、応募を受け付けている企業側から見れば「なぜうちにエントリーしてきているの?」「応募してくるのは勝手だけど、あなた、この仕事できるの?」という人ばかりで、うんざりさせられがちです。当然のことながら、こうした応募はまとめて書類段階でNGとなって終わりです。

これは典型的な「転職活動をしているつもり症候群」です。本来、自分にとって望ましい次の職場との出会い、ご縁を見いだすための転職活動であるはずなのに、「企業応募という行為をいっぱいしている」ということ自体を、転職活動を頑張っていることと同一視してしまっているという、悲しい勘違いです。

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