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ワンオペ生活はヒットの泉 甘口カレー粉なぜ生まれた

日経DUAL

2019/9/21

ハウス食品 新領域開発部 3グループ グループ長の黒部史明さん
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ハウス食品が今年2月に発売し、予想の2倍を超える売れ行きを見せている「味付カレーパウダー バーモントカレー味」。ハウス食品新領域開発部の黒部史明さんは妻に代わって時短勤務を行い、二人の娘の夕食作りを経験したことが新商品開発のヒントになったという。あり合わせの食材で子どもが喜んで食べてくれる。働く女性の料理作りを助けるための調味料を世に出すまでの軌跡をたどる。

■時短勤務中の夕食作りの経験を上司・部下と共有

3歳から10歳の子どもを持つ共働き世帯の「働くお母さん」は普段どんな料理を作っているのか。商品開発のために、「働くお母さんのリアルな食卓が見たい」と考えた黒部さんのチームは、研究所に勤めるお母さんたちの協力で平日の写真を撮影してもらった。そこで浮かび上がってきたのが、月曜・火曜はハンバーグや唐揚げなど、子どもが好きな定番メニューを作っても、週の後半になると、使い残した食材を取りあえずいためる、汁物に入れるなどの「名もなきメニュー」の存在だった。レシピのないメニュー故に味付けもまちまちで、なによりも子どもが食べてくれないという悩みを抱える人が多かったのだ。それをいかにおいしく食べてもらえるかが開発のポイントとなった。

「働くお母さん」の気持ちを理解するために、妻に代わって一週間の時短勤務を行った黒部さん。仕事のヒントになると考え、時短勤務をしていた期間は家での子どもたちとのやり取りをホームビデオで撮って記録していた。作った夕食のメニューや気付いたことなどはパソコンのメモ帳に細かく記していた。通常勤務に復帰後は、それらのビデオやメモの内容を上司・部下と共有し、時短で退社した後、笑顔になる余裕などないくらい忙しい「働くお母さん」のリアルな状況を社内に積極的に発信していった。

「働くお母さんなら多くの人が実感していることでも、経験のない社員に対しては言葉では伝わらないことが多いと感じました。だからこそ、時短勤務期間の夕食作りでの具体的なエピソードや実感については、写真や動画を交えながら丁寧に説明することを心掛けました」

時短勤務期間に夕食作りを担当した黒部さんの実感を踏まえ、新商品の開発チームが重視したのは、「幅広い食材に使えること」と「これだけで味付けが完了すること」。この2点を条件に検討し、未就学児や小学生を持つ母親たちにヒアリングを重ねた結果、浮かび上がってきたのが「さらさらのパウダータイプのカレー味の調味料」だった。

「カレー粉は市場に多く出回っていますが、お母さんたちからは『スパイシー過ぎて子どもが食べるものには使えない』『サラダに混ぜてみたけど粉っぽくておいしくなかった』『辛みは出るけれど、子どもが好きなカレーの味にはならない』といった意見が多く寄せられました。 “未就学児や小学生がいる家庭が使えるカレーパウダー”という領域には、マッチする製品が出ていない。この領域にこそ、チャンスがあると確信しました」

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