「意味がある」仕事をするニュータイプの人材社会課題を解決するにはどんな人材が必要か(1) 山口周氏に聞く

これからの社会課題を解決する人材とは? 美学の視点をもつ山口周氏とサイエンスの視点をもつ竹内薫氏。時代を鋭い目で見つめる2人にうかがった。

真に価値をもつのは
「役に立つ」オールドタイプではなく
「意味がある」仕事をするニュータイプの人材である

生きる意味を作り出せる 「ニュータイプ」の時代

これから活躍する人材とは、人が生きる意味、生きがいを生み出せる人材。僕はそう考えています。21世紀初頭までは、問題を解決する人材、役に立つものを作る人材が評価されていました。みな従順で論理的で、勤勉で責任感が強い。与えられた問題に対してすばやく正解を導くことができます。しかしそんな人材が「オールドタイプ」として急速に時代遅れになっているのが現在です。

正直「これ以上、世の中が便利になってもしょうがない」とは思いませんか。これ以上、テレビの画面が美しくなることを誰が望むのか。人々の胸にあるのは、物質的には満たされているのに生きる意味がないという欠落感です。今求められているのは、われわれが生きているに値する何かを生み出す人材。いわばオールドタイプに代わる「ニュータイプ」です。

企業もまた同じです。多くの人にとって「役に立つ」という市場を選ぶか、独自の「意味がある」という市場を選ぶか、岐路に立たされています。ビジネスとしてスケールするのは「役に立つ」市場ですが、グローバルな勝ち組企業以外は生き残れません。「意味がある」市場は多様化が進むためスケールしにくいものの、独自の地位を築く可能性があります。

オールドタイプとは対照的に、ニュータイプは自由で直感的、わがままで好奇心の強い人材です。現状の日本はニュータイプが生まれやすい土壌とは言い難い。サッカー日本代表のトルシエ元監督は、車が来ていないのに赤信号だからと横断歩道を渡らない日本人を見て「この国のサッカーを強くするのは難しい」と思ったそうです。自分の責任で判断せず権威に委ねる。ニュータイプの時代にこれでは困るわけです。

正誤より好悪を 論理より直感を優先

「生きていて良かったな」と思える何かを生み出せない仕事は、あってもなくてもいい仕事。「そんな仕事からはさっさと逃げ出して、自分が楽しいと思えることだけしたら?」というのが僕の本音です。近著『ニュータイプの時代』(ダイヤモンド社)では、ニュータイプの思考と行動様式を「ルールより自分の倫理観に従う」「大量に試して、うまくいったものを残す」など24個にまとめました。しかし仕事を通じて意味を作り出そうと思うなら次の2つを意識するだけで十分です。「無茶苦茶ムカついてることを世の中から抹殺する」か「無茶苦茶好きなものを自分で作る」か。ここで大切なのは「好き嫌い」を重視し、正誤の判断をしないことです。論理より直感を優先するとも言えます。論理は1つの正解に収斂するため、「役に立つ」領域で力を発揮する。一方、好悪は論理から抜け出して多様性を生みだし、さまざまな意味の源泉になる。意味を作り出すのは論理ではなく、直感なのです。

雇用する側にとっては、好き嫌いで仕事をする人ばかりでは困るのですが(笑)、人材の多様性を謳い、またニュータイプが生み出す意味を会社の成長力として取り込みたいなら、採用の仕組みを変える必要があります。具体的には2つのルートを用意します。1つは従来どおりの新卒一括採用。大学入試から就職試験まで、問題解決能力が高く、正解をすばやく導ける人材をスクリーニングするシステムとして完成しています。しかしもう1つ、役に立たないかもしれないけど意味を生み出せる人材を採用するルートを用意します。漫画を描かせる、人生相談の回答者をやらせるなど、オールドタイプとは異なるモノサシで採用する。これからの採用活動はダブルスタンダードが有効です。

Text:東 雄介 Photo:大平晋也

やまぐち しゅう●独立研究者・著作者・パブリックスピーカー。1970年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画。一橋大学経営管理研究科非常勤講師。

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