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睡眠科学で判明 月曜日の朝、仕事に行きたくない理由

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/9/24

ナショナルジオグラフィック日本版

月曜日に起きるのが嫌になるのは週末の睡眠が関係していた 写真はイメージ=PIXTA

月曜日が来るのが憂鬱。休日ゆっくりと過ごして睡眠不足も解消し、リフレッシュしたはずなのに月曜の朝がつらく、何とか起床しても倦怠(けんたい)感が強い。そんな翌日のことを思うと日曜の夕方くらいから気分が落ち込んでしまう。

典型的な「ブルーマンデー」の症状である。休日が終わり、また1週間の勤務や通学が始まるおっくうさに対する心理的反応として一般的に理解されている。よほどの仕事や勉強好きでもない限り、誰しも同じような気分を経験したことがあるだろう。日曜夜に放映されている国民的アニメの名前をとって「サザエさん症候群」という俗称もある。といっても「ブルーマンデー」自体が俗称であり、これに該当するような疾患があるわけではない。

実際、「ブルーマンデー」を経験している大部分の人では、そのために生活に大きな支障が出るようなことはない。気重だな、と思いつついったん仕事に出かけてしまえば、後は日々のルーチンワークの中で活発さを取り戻す。ただ、夜型傾向が強い人は少し事情が異なる。寝起きが格段に悪く、日中のパフォーマンスも数日低下したままで、時には抑鬱状態に陥ることもある。このような強い「ブルーマンデー」に悩む夜型の人々の体内では一体何が起こっているのだろうか。

本コラムで以前にも紹介したが、体内時計の「1日の長さ(周期)」は人によって異なり、その人の朝型夜型傾向に深く関わっている。私たちが特殊な施設で日本人約20名を対象に精密測定した体内時計周期は平均で24時間10分。人数が少ないと言うなかれ。この測定は非常に大変なのである。そのような少人数での測定値においても、23時間50分程度の短周期の人から、24時間30分超の長周期の人まで、40分以上の個人差が見られた。ハーバード大学が白人を対象に測定した結果も驚くほど合致しているので、周期の長さやばらつきに人種差はないようだ。

このわずか40分程度(より長い、もしくは短い人もいるだろう)の個人差が、私たちの寝つきやすさ、目覚めやすさに大いに関わっていることが明らかになっている。周期が長いほど夜型傾向が強く、社会的制約がなければ寝つける時刻と目覚める時刻は自然に遅くなる。遅れるのは睡眠時間帯だけではない。体温やホルモン分泌など睡眠や覚醒を支える生体機能リズムも全体として遅くなる(位相後退する)。

例えば、睡眠に深く関係する脳の温度は、夕方過ぎに最高になった後に急激に下降し、明け方に最低になった後に再び上昇に転じる。朝型の人の場合、脳温リズムのタイミングが早いため起床する頃には十分に脳も温まっており、覚醒を促す副腎皮質ホルモンもすでに分泌のピークを迎えている。そのおかげでとても目覚めやすい。ところが、夜型の人の場合には生体リズムの位相後退により、例えば朝7時の段階でも脳温がまだ下降中のことすらある。これではスッキリとした目覚めは全く期待できない。目覚ましに気付かず遅刻をしてしまうのもうなずける。

それにしても、「ブルーマンデー」の名前の通り、1週間の中でとりわけ月曜日に起床が難しくなるのはナゼなのだろうか。それは週末の寝だめに原因がある。夜型でなくても、週末のわずか2日間の寝だめによって生体リズムがおおむね30~45分も位相後退することが複数の研究で明らかにされている。そして特に夜型では位相後退がより顕著で、体内時計が一気に1時間以上遅れることもしばしば、なのだ。

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