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キャリアの原点

東大発の特許を後押し 弁理士の女性副社長が奮闘 東大TLO副社長 本田圭子氏(上)

2019/9/24

東大TLOの本田圭子副社長は弁理士・博士号を併せ持つ

学術的な研究成果を産業界でも生かそうと、特許化する動きが盛んだ。大学の技術移転機関(TLO)の草分け、東京大学TLO(以下、東大TLO)の本田圭子副社長は弁理士資格を生かし、アカデミズムと産業界の橋渡し役を担っている。理系の研究者から知的財産分野へキャリアシフトした異色の経歴の持ち主。原点は特許事務所でインターンシップをした経験にあったという。

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東大TLOは東京大学の研究成果を特許化し、それを企業へ技術移転する仲介役を担っている会社だ。前身を先端科学技術インキュベーションセンターといい、1998年、大学等技術移転促進法(Technology Licensing Organization=TLO法)が制定されたことがきっかけで作られた。国立大学の法人化により、国立大学も自らの大学名で特許出願をすることが可能となったのに伴い、2004年からは東京大学の完全子会社として活動している。

■東大TLOの役割と業務

「大学の使命はかつて教育と研究でした。産学連携が盛んになるにつれ、そこに社会貢献というもう一つの柱が加わりました。東大TLOは社会貢献を目的に、大学の研究成果を社会に橋渡しする機関として誕生しました。具体的には、大学の先生の研究成果をお聞きして、それを知財化し、産業界に紹介するなどしながら開発を担っていただく企業を探索するなどしています」と、副社長の本田圭子氏は説明する。

特許につながりそうな研究成果があった場合、研究者は大学に発明届出書を提出する。東大TLOのスタッフはその発明届出書に沿って、研究者から発明内容を詳しく聞き、その特許性や市場性を調査する。

東京大学では現在、年間約550件の発明届出書が提出されている。2018年から副社長に就任した本田氏は東大TLO唯一の弁理士であり、特許性の観点からスタッフに専門的なアドバイスをしたり、相談に乗ったりしている。

もともとは研究職を目指していたという。「高校卒業後、薬学系の単科大学で修士課程まで過ごしました。その際、連携している国立の研究機関で本職の研究者に交じって研究する機会があり、研究職を志しました。修士では細菌学をテーマにしていましたが、ちょうど遺伝子工学に関する研究が盛り上がっていた時期でした。今でいうところのゲノム編集につながる、遺伝子組み換えのメカニズムを解明する研究に携わりたいと思い、博士課程では研究テーマを変え、91年に東京大学大学院医学系研究科へ進学しました」

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