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本の居場所 気になる一冊

疲れた人が集まる東京駅 爆売れする人生の指南書とは マルノウチリーディングスタイル

2019/9/24

岩手県盛岡市の書店でヒット企画を手がけたこともある長江貴士氏
都会の大型書店や商店街の本屋さん、ブックカフェや図書館など本の集まっているところには、それぞれ独自の雰囲気や表情がある。個性的な「本の居場所」ではどんな本が読まれているのだろうか。人気の一冊や「一押し」の本を選んで紹介する。第1回は東京駅に隣接するブックカフェ「マルノウチリーディングスタイル」を訪問した。

東京駅のすぐ隣にある商業ビル内のブックカフェで、人生をラクに生きるための指南書『しないことリスト』(pha著、大和書房)が爆発的に売れている。1年前の出版時から店頭で熱心にアピールしてきた、同店“イチオシ”の一冊だ。「TO DO LIST(やることリスト)」に追われるような慌ただしい日常から自由になれる感覚が、少し疲れ気味のビジネスパーソンの心に刺さったようだ。

■10カ月で1400冊が売れた

著者のpha氏は「日本一有名なニート」と呼ばれるブロガーで、京都大学総合人間学部を卒業したあと25歳で就職。28歳で会社をやめたあとは、ふらふらしながら暮らしている。シェアハウス「ギークハウスプロジェクト」の発起人で、『人生にゆとりを生み出す 知の整理術』(大和書房)『ひきこもらない』(幻冬舎)などの著作がある。

今の世の中には無数の、『しなきゃいけないこと』があふれている――。冒頭でこう指摘するpha氏は「いわゆる『しなきゃいけないこと』の99%は『本当は別にしなくてもいいこと』だ」と読者に訴える。「あれもこれもしなくてもいいんだ。人生ってもっとラクに生きていけるんだよ」とシンプルなメッセージがこの本から伝わってくる。

文庫版の刊行は2018年9月。マルノウチリーディングスタイルでは、その2カ月後から毎月コンスタントに150~200冊のペースで売れ続けている。19年7月までの累計販売部数は1465冊。1店舗としては2位の大型書店(大阪市)が売った314冊を大幅に上回る。大手ネット書店でも同時期の販売数は730冊にとどまっている。

本に記された「しないことリスト」は全部で36項目。それぞれが格言風に、短い言葉で記されている。

LIST 1 余計な買い物をしない
LIST 2 お金で解決しない
……
LIST 17 土日を特別視しない
LIST 18 1カ所にとどまらない
……
LIST 22 つながりすぎない
LIST 23 予定を守らない
……

項目ごとに、とてもわかりやすい文章で数ページのコメントが付いている。「ユルく、ラクに生きる達人」の言葉は、いずれも説得力に富む。例えば「土日を特別視しない」とはどういう意味だろうか?

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