友達同士で笑いあっている時に撮った気楽な写真が、その時の空気も写っていて、一番大事なんです。そんな、フィルムでしか撮れない日常みたいなものを大事にしているんだと思います。
一眼レフよりコンパクトカメラ
――女の子に人気のあるカメラは何でしょうか。
オートフォーカスのコンパクトカメラが多いですね。少し前だったら(もう使わないからと)捨てられていたようなカメラを、中古カメラ屋さんやネットで買って使うのが、彼女たちにとってはかっこいいんです。
――「捨てられていたような」というのは、面白いですね。従来のカメラ好きの人たちが関心を示さなかった、簡単に撮れるカメラの人気が高いわけですか。具体的な機種は?
中でも人気なのはキヤノンの「オートボーイ」とオリンパスの「μ(ミュー)」シリーズですね。数は多くないですがハーフサイズのカメラを使いたいという人もいて、オリンパスの「ペン」も人気です。

――ハーフサイズを使いたい理由は何でしょう。フィルム代を節約したいわけではないですよね?
これは単純で、インスタに上がっている写真を見ると、どのカメラで撮ったか書いてあるんですね。だからいい写真があったらそれを見て、同じカメラを探すんです。
例えば、高級コンパクトカメラではコンタックスの「T2」が一番人気なんですけど、これは女優の水原希子さんが使っていて、T2で撮影した写真をSNSで発信して人気が出ました。
――フィルムカメラが人気と聞いて、勝手に機械式の一眼レフカメラをイメージしていましたけど、まったく違うんですね。
さっきも言ったとおり、彼女たちが撮りたいのは日常のスナップ写真ですからね。友達の姿だったり、どこかに遊びに行ったときのスナップだったり、完全にインスタのため、SNS用だと思います。一眼レフだと撮るほうも撮られるほうも構えてしまうから、自然なスナップを撮るのは難しい。だからオートフォーカスのコンパクトカメラが人気なんです。
「敵のいない仕事になる」
――今野さんはどうしてフィルム関係に力を入れようと思ったんですか?