さて、本題に入る前に、あなたはどちらのタイプだと思いますか?
(1)大学生活をただ何となく過ごし、必要な単位はとっているものの、卒業後にどのように働いていくのかは、ぼんやりとしている学生
(2)大学卒業後をみすえて、大学生活の4年間を計画的に過ごしている学生。
私は2008年に大学の教員になり、それから9つの大学で、5000人以上の大学生と接してきました。大学生は2つのタイプに分かれます。この5000人のうち、大学生活の4年間を計画的に過ごしている学生は、私の実感値だと2割弱です。この両者の差は、一体なんなのか? まずは、その違いについて理解を深めてきたいと思います。
ぼんやりと過ごす学生と、計画的に過ごす学生との違いを、両者の行動特性に基づいて理解するために、次のような名付けを行いたいと思います。
ぼんやりと過ごす学生を、「ポスト高校生」と呼ぶことにします。「ポスト高校生」は、大学受験を経て、大学に入学しても、高校生までの学びや行動から「卒業」できない大学生です。平たく言うと、高校4年生や高校5年生のように、高校の延長線上として、大学生活を過ごしている学生たちです。
それに対して、計画的に過ごす学生は、「プレ社会人」と呼ぶことにしましょう。プレ社会人は、大学に入学して、大学での学びを深めながらも、インターンなどを通じて、大学卒業後を見据えて、社会人の練習期間として大学生活を過ごしている学生たちです。
「ポスト高校生」は、大学の教授が正解を教えてくれると思って、講義を受講しています。受験までの知識記憶型学習が抜け切れていないのです。しかし、それでは困ります。ご存じのように、変化の激しい社会を生き抜いていく術とは、知識を記憶していくことではなくて、ありとあらゆる状況の中で、その都度、自らの行動方針を導き出していくことなのです。
正解を覚えるのではなくて、自らの行動方針を導き出す練習を、大学時代に積み重ねていくことが必要なのです。加えて言うと、大学卒業後に社会から求められることと、大学で学ぶこととの間には、相当なギャップがあるのが実情です。
理想を言えば、大学に入学して、最初に学ぶべきことは、このギャップがいかほどのものなのかについて理解することなのです。
「どこにでもいるような女子大生」が変われたきっかけ
より具体的にイメージできるように、ここからは林さくらさん(23)の事例を紹介しましょう。