資産形成のプロ 低利でも退職金で住宅ローン返す理由

日経マネー

しかし、退職して現役時代よりも勤労収入が少なくなる中、住宅ローンの毎月の返済を抱えていると、その一部を金融資産からの取り崩しで充当する必要が出てきます。これは決していい方法ではありません。運用は環境によって変動があるのが前提ですから、金融資産の相場が下落している時にも毎月の支払い分をその金融資産から引き出して充当しなければなりません。これは固定金額の支払いを変動する金融資産で賄うことになり、私がよく危険性を指摘する「定額引き出し」の課題を抱えることになります。

例えば1000万円の退職金を運用して、月初に10万円をそこから引き出して住宅ローンの返済に充てるとします。1年間の動きを前半にプラスが続いたパターン1と、その逆に前半にマイナスが続いたパターン2を比較してみたのが表です。12カ月間の平均収益率はどちらも2%になるように設定しましたので、引き出しをしていなければ、どちらも12カ月間で1020万円になる計算です。

運用しながらの返済は悪手

ところが12カ月たってみると残高はパターン1が901万円で、パターン2は894万円です。後者の残高が7万円強少なくなっていますが、12カ月の毎月の収益率の並び方が違っているからです。

前半にマイナスが並ぶパターン2の場合には、最初のマイナスで残高が減っている際でも10万円を引き出し続けていることになります。結果として想定以上に元本の毀損が進み、せっかく後半にきて収益率のプラスが並んできても、残高の回復が追い付かないのです。

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