Men's Fashion

クライミングパンツ、街着に 「グラミチ」人気急上昇

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2019.9.12

1982年に米国で誕生したアウトドアブランド、グラミチのパンツがビジネスマンに売れている。グラミチの代表的な商品は、機能性を高めたクライミング用パンツ。その動きやすさがロッククライマーに評価され、クライミングパンツの代表ブランドの一つとなった。そんなスポーティーなグラミチのパンツが売れ出したのは、この5年ほど。日本での総代理店であるインス(大阪市)が素材やデザインを工夫し、街着として通用する商品を増やしたためだ。職場のカジュアル化が後押しし、職場ではく男性も増えつつある。




■180度開脚できる股・片手で締められるベルト…

インスの2020年1月期でのグラミチの売れ行きは前期比1.5倍の80億円超(小売りベース)となる見込み。10年前に比べて10倍と好調に推移する。「普段着として購入する人が格段に増えだ」(インス)という。

定番のショーツ。片手で締められるベルトがポイント。動きやすさでクライマーに圧倒的に支持されている

グラミチの発祥の地はカリフォルニア州ヨセミテ。ロッククライマーの聖地として知られ、グラミチもクライミング用パンツで一世を風靡した。その特徴は股部分。独自の当て布「ガゼットクロッチ」を使うことで180度開脚できるようにした。一方で片手で締められるベルトや小物が落ちにくい面ファスナー付きポケットを採用。ゴムウエストで動きやすく、細部にわたる機能性が「ストレスがない」とクライマーに支持され、ブランドの知名度が上がった。アイコンはベルトに付けられた赤いランニングマンのロゴだ。

■街着想定しデザイン工夫、日常使いする人が急増

日本では街着を想定して、少しずつデザインを工夫。顧客の裾野が広がったのが、ブランド30周年記念で開発した、細身のテーパードパンツだった。それまでグラミチのパンツは太目が主流。「股から下にテーパードをかけた細身の『ナローパンツ』を出すと、スタイリッシュになったと反響がすごかった。これが転機となり日常使いする人が増えた」(インス)

パンツは180度開脚できるようにデザインされている。カーキ、グレー、ネイビーなど定番色でだれでも合わせやすい

もっともオーソドックなグラミチパンツ。編集者やカメラマンから火が付き、広がっていった


その後、動きやすいという仕様はそのままに、それまでケガ防止からあえて付けていなかった股部分のファスナーを取り入れ、シーズン性を取り入れた素材使いに取り組んだ。カメラマンや雑誌編集者から火が付き一般消費者へと広がった。4年前からは「ナローパンツ」を進化させ、股上を浅く、より一般的なスラックスに近い形にしてヒット。価格は税別8800~1万800円でおしゃれなリラックスパンツとしてセレクトショップでの引き合いが多い。

■日本サイドの企画がアジア・欧米に拡大

秋冬ではウールを使ったドレッシーな商品が人気。シャツやジャケットとコーディネートする男性も増えてきた。こうした日本サイドの企画はアジア各国、欧米でも売られるようになっている。

コットンのほかドレッシーなウールなど多様な素材を展開。形もスリムになった

三井住友銀行が一部行員にTシャツやジーンズでの業務を認めるなど、職場のドレスコードは一段と緩和される兆し。グラミチのようなアウトドアブランドほか、ゴルフウエアなども職場への進出を狙っており、カジュアルパンツ市場がにわかに活気づいている。