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創業300年中川政七商店13代目 学生も変化起こせる

中川政七商店会長/奈良クラブ社長 中川政七氏

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NIKKEI STYLE

日本の工芸再興に取り組む創業300年超の「老舗ベンチャー」中川政七商店(奈良市)の13代目、中川政七会長(45)に、大学生2人がU22の藤原仁美とともにインタビューした。2人に共通する悩みは、大学や地域社会といった伝統あるものにチャレンジを阻まれた経験。そんな2人に中川氏が伝えた「変化の起こし方」とは。(聞き手は、慶応義塾大学1年の山田璃々子さんと、上智大学4年の桜井爽太さん)。

中川政七(なかがわ・まさしち)氏 1974年、奈良で生まれ育つ。京都大学卒業後、富士通を経て02年に家業の中川政七商店(1716年創業)へ。同社は手織りの麻織物をはじめ日本各地の工芸をベースにした生活雑貨の製造小売業などを展開している。雑貨部門の経営をてこ入れし、「中川政七商店」「遊 中川」のブランドで店舗を全国に拡大させた。「くまモン」のデザイナーで知られるクリエーティブディレクター、水野学さんを口説いてブランディングに協力してもらうなど「巻き込み力」でも知られる。2018年には会長に退き、地元のサッカークラブ「奈良クラブ」の社長に就任し、サッカークラブから奈良のまちづくりに動き始めている。

――(慶応義塾大学1年 山田璃々子)300年を超える伝統のある会社を、中川さんの代で大きく変革されたと聞きました。伝統とのせめぎ合いで悩まれたことはないですか。実は私、中学高校で40年以上続くミュージカル部の部長をつとめた時に、新しいことに挑戦しようとしても、学校や先輩に、「伝統を変えるのはよくない」と反対され実現できませんでした。

「部活は難しいよね。OBやOGは自分より年上で社会経験もある。一方の部長は任期が普通はたった1年。仕組み上、部長が短期間で何かを大きく変えていくのは難しいかもしれない。その中でできるのは、OBOGを集めて『ビジョンを決めてくれ』って頼むことかな。ビジョンが決まったら、現役の部員たちはOBではなくビジョンに100%コミットすると決めればいいのかもしれない」

「実は中川政七商店は、伝統を守ろうという意識はほぼないんです。そもそも僕が父から会社を継いだときにも「とらわれるな」と言われたくらいですからね」

「我々は後ろを見ることはありません。『日本の工芸を元気にする!』という、僕が社長になったころに考えたビジョンだけを見ています。社員には、「社長に仕えるんじゃなくて、ビジョンに仕えるんだよ」と言い続けています」

――(山田)私自身、自分のビジョンに自信がなくて先輩の言葉とか伝統という「他者の目」にしがみつこうとしていたのかもしれません……。もう一つお聞きします。何かを変えたり新しいことを始めたりするのに必要なことは何でしょうか。大学で朝食を提供するキッチンカーを始めようと活動していますが、衛生面などでハードルにぶつかっています。

「きちんと学んだうえで「自分にも変えられるかも」という勇気がもてたら、あとは覚悟です。朝食抜きになりがちな学生においしい朝食をというあなたのビジョンは、大学のルールに阻まれて難しいかもしれない。そこを動かすのは、覚悟です。覚悟があれば共感を生み、人が動きます。覚悟がなければしょせんその程度だと思われるだけ」

「僕は去年、中川政七商店の社長を退き、『奈良クラブ』という地元のサッカークラブの社長に就任しました。奈良クラブにはそんなにお金がありません。だからみんな手弁当で関わってくれています。それでも今、人が集まり始めています。それは、僕に覚悟があるからです」

「現実の問題で解決できないことなんてほぼ無いです。だから大丈夫。打ち続ければいつか穴は開きます。しっかり学んで、覚悟をもって進んでください」

ビジョンや覚悟のもとにあるものは?

――(U22 藤原仁美)ビジョンや覚悟を持てるようになるにはどうしたらいいのでしょう。中川さん自身はどういう学び方をしてきたのですか。

「若い頃は本当にろくにモノを考えない学生でした。いろいろ気づき始めたのは、27歳のころ、中川政七商店に入って以降です。何かができるようになると、人は成長しますよね。勉強でもサッカーでも仕事でも、できるようになるパターンの構造は一緒だなと気づいたんです。これを僕は『学びの型』と呼んでいます」

「学校ってつまらないと思ってたでしょ? 授業、テストがあって、点が悪いと補習があり、もう一度テストで確認して。でも、これは『何が足りないか』を教えてくれる仕組みなんです」

「ところが、社会に出るととたんに補習も確認テストもなくなります。誰も『あなたはここが足りないので、ここを強化しましょう』とは教えてくれません。自分の足りないところを強化して自分で伸びていく力、つまり『学びの型』が自分に入っていないと、社会人になったあと全然成長しなくなってしまいます。学校だと0点か100点かの差しかつきませんが、社会人になるとおそろしい差がつきます。給料なんかにも跳ね返ります」

「例えば、奈良クラブはチームを強くするために、サッカー選手たちにも『学びの型』を実践してもらっています。授業を受けてもらい、小テストで確認することもあります。一般の人向けにも講座を開いています。ある分野で一流の人たちに『これを勉強したらなぜ面白いのか』という学びの意義を語ってもらう。小学校高学年以上が対象です。こういう場をサッカークラブとして提供して、奈良の人の心に『火』をつけたい。奈良の人たちに自分たちも変われるかもと思ってもらいたい」

「変わりたい人」とつながる

――(上智大学4年 桜井爽太さん)なぜ奈良を変えたいんですか。すでに世界的な観光都市ですよね。

「奈良には『しょせん大阪と京都に挟まれてる』っていう空気が充満しているんですよ。しかも、貯蓄率も税収も高い。何も困っていないけれど、僕に言わせれば退屈な町なんです」

「長野県松本市みたいにサッカーが強くなってまちの体温が上がったという例もある。奈良クラブにもビジョンを決めました。『サッカーを変える 人を変える 奈良を変える』です。サッカーチームを強くすると同時に、クラブをいろんな学びの場にして、一歩踏み出す勇気を奈良の人たちにもってもらいたいと思っています」

――(桜井)僕は今、地域おこしに関わっているんです。海外から日本を見たときに色々と思うところがあったので。ところが、新潟の過疎地域でお祭りを手伝ったときに新しいことに挑戦しようとしたのですが、「それはやらなくていい」って言われたんです。相手が変わりたくないと言ったとき、中川さんはどう口説いていますか。

「変わりたくない人に無理強いしなくていいんじゃないでしょうか。それはお節介ですよ」

――(桜井)お節介か……。

「でも、外に出て日本について気づいたのはすごくいいと思いますよ。僕が奈良を意識するようになったのも、東京に出てからですから」

「僕が中川政七商店の新しいビジョンを決めたのも、あくまでも自分たちが変わりたいと思ったからです。奈良をサッカーを起点に変えたいと思っているのも、自分と会社のまちだからです。行く先を間違わなければいいんです。変わろうと思っている人は必ずいます。そういう人とつながれれば、桜井さんの志が役に立つ場所も必ずあると思います」

(文・構成 藤原仁美)

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