余分な糖がたんぱく質と結びつき、たんぱく質が変質
正解は、(1)ホントです。
「糖化」を一言で言えば、「体のコゲ」のこと。パンケーキなどを焼くと表面がこんがりしたきつね色になりますが、これはパンケーキなどに含まれる糖と、卵や牛乳に含まれるたんぱく質が結びついて起こった現象です。これが糖化です。
糖化対策の専門家である同志社大学生命医科学部糖化ストレス研究センター・チェア・プロフェッサー教授の八木雅之さんは、この糖化が体の中で起こると様々な悪影響を及ぼすのだと話します。
「体の中で起こる糖化とは、体内の余分な糖がたんぱく質と結びつき、たんぱく質を変性、劣化させていくことです。たんぱく質は、臓器、皮膚、筋肉、血管などをはじめとする体を構成する重要な成分です。つまり、糖化により体を構成するさまざまな要素が劣化していくわけです」(八木さん)
八木さんによると、牛の皮や骨などをブドウ糖溶液につけておくと、それだけで徐々に組織が糖化され、数日で茶褐色に変色し、弾力を失っていくそうです。
「糖化が進行していくプロセスでAGEs(糖化最終生成物)という物質が生成されます。AGEsはさまざまな経路を経て作られ、一口にAGEsといっても、論文に報告されているだけでも数10種類あり、実際のところ100種類以上あるともいわれています。このAGEsこそ、老化を促進させてしまう厄介な物質なのです」(八木さん)
「AGEsの弊害の一つに、たんぱく質の硬化があります。AGEsはたんぱく質同士を結合させ、『悪玉架橋』と呼ばれる厄介者を体内に作ってしまうのです。悪玉架橋ができると可動性やしなやかさが失われ、硬化してしまいます。さらに、体内には、AGEsをキャッチするレセプター(受容体)が存在し、そのレセプターがAGEsをキャッチしてしまうと炎症を起こすのです。このようにして、体内のさまざまな臓器の機能が低下していきます。これがいわゆる『老化』ということになります。これがさらに進むと、やがてさまざまな病気につながるのです」(八木さん)
お酒と糖化は関係あるの?
様々な悪影響を及ぼす糖化は、「過剰な糖の摂取」により“余った糖”がたんぱく質と結びつくことが一番の原因となります。しかし、それだけでなく「アルコールと糖化は密接な関係にあります」と八木さんは話します。

「糖とたんぱく質が結合してAGEsを生成すると説明しましたが、実は、その生成過程の中で中間生成物として『アルデヒド』が生成されているのです。つまり、糖化のプロセスでは、糖からアルデヒドが生成され、それがたんぱく質と結びつくことで、AGEsの生成が進むのです[注1]」(八木さん)
[注1]AGEsの生成経路は複雑・多経路で、実際には糖だけでなく脂質からもAGEsが生成される経路がある。